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zoom RSS 55歳受験生不合格について

<<   作成日時 : 2005/07/01 22:37   >>

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 群馬大学の医学部が55歳の女性を年齢を理由に入試で不合格にしたという。なんとも不思議なことがあるものだ。アメリカなら損害賠償ものではないだろうか。
 法律的な観点から、大学への入学が年齢で制限されえないことは自明である。何ら疑う点がない。従って、報道によれば、情報開示請求で明らかになったこととして、女性の点数は合格者の平均点を上回っているというのだから、年齢以外は不合格理由はなく、あいまいながら大学側は認めているようだ。これは「違法」である。
 しかし、問題はそれだけではない。日本の大学には、若い学生ばかりがいる。若い学生は人生経験が少ないから、学び方が非常に受け身的になる場合が多い。そこに、年齢の高い学生や聴講生がいると、とたんに授業が活性化する。このことは、多くの大学教師が経験していることではないだろうか。つまり、大学の教育にとって、年齢の高い学生がいることは非常に好ましい状況となることが普通である。
 おそらく医学部は6年制でそのあと研修医制度があり、実際に医者になれるのに10年くらいかかる。そうすると66歳になってしまい、医者としての年齢的な限界に近づいてしまうから意味がないという理屈なのであろう。医学部は非常に費用がかかるわけだから、まったく卒業後の医者として活動する余地がないのならば、確かに年齢の高い学生を認めないというもの合理性がないわけではない。しかし、年齢が高くなると、医療に従事できないというわけではない。かつてCNNテレビで紹介された100歳の女医の事例もあるし、また、日本でもかなりの高齢の現役の医者はそれなりに存在する。したがって、活動ができないということはないのだ。そして、高齢化社会を迎えて、高齢者の医者の存在はそれだけ貴重なのではなかろうか。こうしたことを容認できるかどうかが、この問題のひとつの判断の分岐点となるに違いない。
 この場合医学部であったので、問題が異なるが、一般的に中高年の大学への入学をどれだけ実現できるかが、今後の日本の大学の活性化、および私学の経営の安定にとって大きな条件となることはわかっている。かつてアメリカも大学の経営危機を迎えたことがあるのだが、そのときには社会人の入学が増えたことで乗り越えることができたと言われている。日本の場合には、あまりに納入金が高いことと、長い休暇をとることが難しいので、日本では社会人入学はほとんど進展していないのだが、労働時間の短縮や資格社会の到来、あるいは、offJT の普及によって、大学において、どれだけ中高年の人たちが学びやすくなるかが問われるようになってくるのである。
 そういう意味で、群馬大学のとった措置は、いかにもアナクロニズムであるように思う。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
群馬大も、ずいぶん思い切ったことをやったものですね。
ところで、この志願者の動機は何だったんでしょう、医者として働きたい?、趣味として学問を究めたい? そのどちらでも、国立大ではあっても学費は安くないし、その志には感服します。
一方、問題になるのを承知で、あえて不合格とした大学当局の見識にも拍手をしたい気分です。国費を有効に使う観点から、実力の面では十分に入学資格のある若者の方を優先したいと考えたのでしょうが、裁判になったら負けると判断していたと想像します。
ご指摘の「中高年の大学への入学をどれだけ実現」には賛成です。私は、それに加えて、趣味を目的とする老年の修学機会が増えることを希望します。今でも可能ですが、費用が高く、内容も限られています。
片靴
2005/07/02 10:08
コメントありがとうございます。問題を認識していながら、あえてとったというのは確かにそうかも知れません。もし、受験生がだまっていれば、それで終わりですから。ただ、長年大学の教師をやっていますが、泣き寝入りしない受験生や学生が増えているのは、はっきりとわかります。入学パンフと違うことをやると、クレームが必ずきます。それはそれで大学をよくするためには必要なことだと思っています。
 この受験生が何を思ってのことかはわかりません。おそらく、今の長寿社会、これからでも遅くはないと思ってのことと思いますが、ただ、確かに医者になるのは、あまりにきついような気もすます。研修医の時期は、ほとんど人間の生活ができないといいますからね。それを乗り切って医者になれば、また、多くの人に勇気を与えるのでしょうが。
wakei
2005/07/03 20:25

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