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zoom RSS 三上和夫『教育の経済』(春風社)を読む(1)

<<   作成日時 : 2005/09/06 18:49   >>

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 友人である三上和夫氏による新著『教育の経済』(春風社)が刊行された。教育経済学を構築しようという意欲的な著書である。しばらくの間、この本を紹介しつつ、納得できないところもあり、書評を超えてしまうかも知れないが、分析していきたいと考えている。 序章「生活と教育のもつれあい−−教育秩序の変動」の最初は、「生活場面としての学校の主題化」と題して、金八先生・共通一次・学力テスト旭川学力テスト最高裁判決がほとんど同時期に出されたことが示される。そして、私立学校への助成と専修学校が始まったことが指摘される。これらが、三上氏によれば、「今日も執拗に持続する」競争システムであるという。
 確かに、共通一次試験からセンター試験へと続いてきた大学入学試験の国家的規模による試験制度は、それまでの、私自身が受けた大学入試とはおよそ違う様相を現出させたし、また、私学や多様化された学校制度が教育の様相を変えたことも間違いない。そして、学テ最高裁判決は、国家教育権論と国民教育権論の論争に対して、一定の判断を示し、基本的には国家教育権論が支持されつつ、国民の教育権論を一部肯定したものである。そういう中で成立した競争システムによって起きる子どもたちの悩みを、強烈な個性でぶつかっていく金八先生がそうしたシステムへの「批判」として登場したという。80年代から90年代半ばくらいまでの時期の性格付けとして、十分に納得できる。
 しかし、「今日まで執拗に持続」しているのかどうかという点では、疑問を感じざるをえない。私は毎年学生に金八先生に対しての意見を聞いているが、肯定・否定がだいたい半ばしている。つまり、金八先生は嫌いだという学生が半数は存在しているのである。もちろん、当初から金八先生に対しての反発はあったが、私の知る限り、それは主には教員たちからのものであり、生徒たちは多くが、肯定的であった。しかし、今や生徒たちが必ずしも金八先生を受け入れていないのである。何故か、それは、「濃い」役作りと三上氏が書いたそのことが、嫌われているからである。
 また、競争システムが現在執拗に持続しているとは思えない。PISAの学力テストで順位が落ちてショックを受け、全国学力テストの復活を意図しているのも、競争システムが機能しにくくなっているからに他ならない。
 しかし、学校現場の教育の大半は旧態依然たる「試験用」の勉強で、そこにこそ大きな「意欲」と「学習形態」の乖離がある。
 つまり「執拗な持続」ではなく、競争システムの融解が進んでいることが重要なのではなかろうか。

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