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zoom RSS 三上和夫『教育の経済』(春風社)を読む(3)

<<   作成日時 : 2005/09/08 23:28   >>

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3つめの課題は「郊外の物語」となっている。ここはかなり分かりにくい。三浦展という人の著書の「見出し」の紹介がほとんどだから、筆者と三浦の問題意識の関係が理解しにくい。しかし、提起しようとしている問題は重要である。つまり、都市がだんだん大きくなり、人々は次第に郊外に住むようになり、父親は都会の会社に出勤し、子どもたちは郊外の学校に新住民として通う。伝統的な共同体的拘束から解放され、大量消費生活が開始され、就業構造が転換した。そのなかで学校の様相が大きく変化したことは間違いない。
筆者によれば、三浦はアメリカの郊外と日本の郊外を比較しているようだが、その紹介はないので、三浦の説明や三上の解釈はよくわからない。ただ、アメリカの郊外と日本の郊外とは相当異なると言える。そもそも、アメリカと日本では都市や住宅地のあり方がかなり違う。日本では様々な階層の人たちが、だいたい同じ地域に混住している。成城学園や田園調布が高級住宅地といっても、大きな屋敷が多い、というだけで、普通の階層の人たちもたくさん住んでいる。山谷などの貧困地帯といっても、非常に狭い地域に過ぎず、地域的に階層的棲み分けになっているアメリカとは、違うということを確認しておく必要がある。クリントンがワシントンに乗り込んだとき、子どもたちを公立学校に入れると行っていたが、彼はホワイトハウスという都心に住まざるをえなかったから、荒れた公立学校に通わせるか、公約?を裏切って安全な私立学校に入れるかの選択を迫られた。アメリカでは、裕福な階層は郊外のそうした地域に、貧困層は都会にという「棲み分け」がある。
アメリカのヘンシルバニアの新しく開発された中間層が住む郊外の家に泊まったことがあるが、その地域の開発というのは、山だったところを大規模に開発するので、およそ「旧住民」なる存在がほとんどない。しかし、日本では、開発といっても小規模だから、旧住民が住んでいる地域に、マンション群がたって、新住民が入って来る。そこで、二重の価値観が地域に混在するようになって、様々な問題が起きた。そういう郊外の構造的問題が異なることは忘れてはならないと思う。
アメリカはよくわからないが、しかし、日本で新しい性格の教育上の問題が、多く郊外の新興住宅地域で起きることが多かったことは事実である。
また、2度住んだことがあるオランダではまた様相だ大分違う。オランダは国土自体を創造した国だから、かなり計画的に都市や農村が形成されている。個人が土地を購入して、自分の家を建てるということは、極めて珍しい。ほとんどは計画的に開発され建てられた集合住宅を購入したり、賃貸する。したがって、同一地域の建物はほとんどが同じである。昔は貧しかったし、また今はかなり税金が高く、所得再分配の進んだ国家なので、豪邸や非常に貧しい貧弱な住宅というのは、ほとんどみかけない。そして、通勤時間が1時間以上かかるなどということは、考えられもしないという感じである。もちろん、絶対ないというわけではなく、ごく特殊例としてあるが、平均的に30分以内の通勤・通学が常識的である。労働時間も規制されているから、朝早く出かけて夜遅く帰るなどということもなく、家族のあり方が日本とは違う。
そういう意味で、都心や郊外、農村というのが、キーワードとなって、生活と教育のあり方を究明するために重要な概念であることは納得できる。本論での展開を期待する。

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