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zoom RSS オランダの社会と文化 日本と比較しながら(15) ドラッグ4

<<   作成日時 : 2006/06/14 21:47   >>

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 もう少しオランダにおけるドラッグ問題をエピソード風に紹介しよう。
 1990年代の半ば、シンガポールでオランダ人が麻薬を所持して捕まり、裁判にかけられた。そして、判決は死刑だった。東南アジアの国の中には、麻薬の所持が死刑の対象になるほどの重罪である国がある。オランダでは合法だから、オランダ人は東南アジアに旅行に行った際、不用意に麻薬を所持していて、見つかったわけだ。この事件の前に、オーストラリア人がマレーシアで同じことが起き、国際的な問題になったこともあった。
 これは単に麻薬の所持問題だけではなく、ヨーロッパ諸国では死刑制度が廃止されているから、死刑判決そのものにも大きなショックを受けたこともあった。
 この事件はオランダだけではなく国際的な関心を呼び、インターネット上で盛んに議論された。オランダ人の多くは、麻薬の非合法化の無意味さを主張し、一方、アメリカ人の多くがそれに反論していた。麻薬及び死刑に対する国民の考え方の違いが如実に現れていた。
 また移民問題とも微妙に絡んでいる。
 オランダは別のところで述べる予定だが、義務教育から学校を自分で選択して入学する。12歳で3つの類型の中学に分かれて進学するが、それぞれ落第制度がある。落第を繰り返すと退学である。そうして退学になった場合、新しい学校を自分で探さないと不登校状態になる。イスラム系の移民は言葉や文化のギャップでドロップアウトする割合が高いだけではなく、学校の学習への意欲がキリスト教の人々よりも低い場合があり、学校からそのまま離れてしまう例が少なくないのである。オランダは義務教育を修了していないと労働する権利がないので、働くこともできなくなってしまう。それがひとつの社会問題だが、彼らの中に麻薬の売人になってしまう者が出てくるのである。もちろん、中にはハードドラッグを扱う者もいるだろう。911以降イスラム系移民に対する感情が厳しくなっているが、こうした若者が反感を増幅させる遠因になっていると考えられる。

 オランダは政策がオープンであることを強調している。オランダ政府の発行している麻薬問題に関する文書でも、このことは強く主張されている。まだドイツ等がオランダと同じようなソフトドラッグの合法化に踏み切る前に、ドイツの批判に答える形で、オランダでは確かに表面的に中毒者の数が割合として多いかも知れない、しかし、ドイツの数字は表面に現れていない実態を隠した数字であるのに対して、オランダの数字はこれがかなり実態に近いという違いがある。つまり、オランダでは実情を把握しているが、ドイツはそうではないと切り返していた。
 しかし、冷静に見るとこの論理は半面は正しいが、半面は疑問が生じる。ドイツの数字が実態を反映していないのは、非合法であるために闇で取引されているからだというのが根拠になっている。それなら、オランダでも非合法であるハードドラッグについては、オランダ政府も正確に実態を把握しているとは言えないと考えざるをえない。オランダでは非合法でも表に出てきていると考えるのは無理だからである。もし、オランダが本当に実態を把握したいのならば、ハードドラッグも合法化せざるをえない論理だ。この間世界では、ソフトドラッグと常に対比されてきた煙草については、法的な規制が逆に厳しくなってきた。他方、ソフトドラッグについては、先に述べたように、オランダ流の合法化政策が次第に増えている。ドラッグの問題は簡単にはいきそうにない。


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