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zoom RSS オランダの社会と文化 日本と比較しながら(26)

<<   作成日時 : 2006/07/25 21:54   >>

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棲み分け社会オランダ

 オランダ社会で自由と寛容が重視されていることは繰り返し述べたが、その背景として独特な社会システムと結びついている。オランダと他に僅かな国にだけ存在する「柱社会」と言われるものである。1970年代以後徐々に解体し、今ではメディアと教育に残っているが、逆に移民の増加で再形成されている側面もあり、また評価も様々である。
 「柱社会」とは宗教的な価値観を同じくする人たちが、社会の様々な組織を利用し、異なる人たちとは交わらないような生活、つまり棲み分け社会のことである。かつては労働組合、地域のクラブ、病院など多くの組織が宗教的に分かれていたと言われているが、産業の高度化や人口の移動、そして社会全体の世俗化によって柱社会は解体してきた。しかし、今でも学校は価値観で分かれており、放送システムもオランダ以外には見られない方法を残している。まず、世界で最も自由な教育制度をもつとされるオランダの教育について紹介しよう。
 私はもともとはドイツ・フランス・イギリスの大戦間の教育改革を専門にしていたが、対象を戦後に移したときに、オランダに興味をもったのは、日本でさかんに起こっていたいじめによる自殺がきっかけだった。陰湿ないじめは同質性を求める日本社会の影響もあるが、最悪な事態になってしまうのは生徒や親が気に入った学校を自由に選べないからではないか、少なくとも制度論として考えると、自由に選べる学校制度になれば、いじめの被害は軽くなるのではないかと考えた。オランダは義務教育段階から完全に学校選択の自由があり、入学試験で選抜されることがない国だとわかってぜひ詳しく知りたいと思ったのだった。勤めている大学から海外研修の機会を与えられ、迷わずオランダを留学先に選んだだけではなく、学校の実態を中から知るために子どもたちを同伴して、現地校に入学させ、また、地域で家族と一緒に生活してみることで、「経験的」に学校を調べようと考えた。大学の研究室での読書や討論、授業ではわからない教育の実態を知ることができたと思う。

     子どもの入学
 通りの祭りに招待され、引っ越す前から地域の人たちと交流することができたことは前に述べた。翌日日曜日に無事引っ越し、早速月曜日から学校の申し込みが必要だと考えた。もちろん、家主さんからは2つばかり学校を推薦されていた。ひとつは、歩いて1分のところにあるモンテッソーリ小学校、それから徒歩3分程度のイェーナプラン小学校であった。8月17日(月)の朝早速まずモンテッソーリ学校に電話したところ、すぐに断られてしまった。もう人数が多すぎる状態で、日本語しかわからない生徒をとることは非常に負担になるのでできないというのだ。ヨーロッパでは小学校は20人程度が普通だから36人に達していると言われて、さすがに引き下がるしかなかった。そこでこんどはイェーナプランだ。するとそこも同様で、やはり35人いるという。オランダの小学校は非常に小さいのでほとんどが1学年1学級だ。イェーナプランはさすがにこちらのこまった状況を察したのか、入れられないけど、いろいろとアドバイスできるから学校まで来るようにいうので、家族4人ででかけた。途中風車のある公園を通ってすぐにわかった。
 学校につくと生徒たちが勝手にいろいろなことをやっている風で、一斉授業ではない問題解決学習的な方法が取られているイェーナプラン学校ならではの風景だった。校長は親切にいろいろと教えてくれ、すぐ近くにある公立学校なら大丈夫ではないかといって、連絡先を教えてくれた。
 実は私は全くの勘違いをしていたのだ。新学年度は9月1日から始まるとばかり思い込んでいた。しかし、オランダは新学年の開始を9月1日と8月半ばとする2つの区域にわけているのだ。1年交代になるらしく、ちょうどこの地域は8月半ば開始になっていたのだった。じっくり探せると思い込んでいたところ、既に学校が始まっていることがわかり、しかも、推薦の学校は満杯で入れないというので、私たちはすっかり困ってしまった。困ったときには近所に相談とばかり、2日前に仲良くなったばかりの2軒隣の家に駆け込み事情を話したところ、そこの娘の行っている学校も満杯だから無理だが、イェーナプランで紹介された公立学校は大丈夫だろうし、いい学校だというので、電話することにした。するとすぐにオーケーとなり、もう午後になっていたので、翌日学校に来てくれという。
 娘二人を連れて行くと、簡単な登録用紙に記入し、早速担任を紹介されて、いよいよオランダの学校の生徒になった。ただ、言葉のハンディがあることと、日本で小学校6年生だった長女はオランダでは8年生になるのだが、8年生は中学への進学指導が重要なので、1年下の方がいいだろうということで、2人とも1学年下に入ることになった。入れるとなると実に簡単なものだ。しかも、勉強に使う物は教科書や文具まで含めてすべて学校に用意されているので、昼食に帰宅する場合には手ぶらでいいのだ。このような入学させるかどうかの権限は校長に属しているようで、断り方も受けいれ方も「即決」だった。

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