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zoom RSS オランダの社会と文化 日本と比較しながら(27)

<<   作成日時 : 2006/07/26 23:51   >>

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 翌日から早速学校に子どもを連れて行った。ヨーロッパではたいてい小さい子どもは通学に親が付き添う。安全のためだ。学校の責任は授業時間中と決まっており、それ以外の時間帯は親の責任に属する。昼休みなどは従って外に出されてしまい、校庭でけがしても学校は責任を負わない。娘が遊んでいるときに怪我して救急で病院に運ばれたことがあったが、連れて行ってくれたのは教師ではなく昼食の世話をしていたボランティアの親だった。帰宅後に担任の先生が見舞いに来てくれたがあくまでも個人として心配だからであって、日本だったら学校側の不注意で怪我させてしまい申し訳ないというところだが、そうした謝罪の言葉は一切なかった。実に割り切った感じがして、別段不快感もなかった。
 日本では通学時の子どもの安全についての責任の所在は明確ではない。普通親が付き添うことはなく、かといって学校が責任をもっているわけでもない。日本で学校選択の導入についての協議会の委員を引き受けたことがあったが、そこでもやはり、通学の問題はかなり議論された。学校選択を認めると遠くの学校に通う子どもが出てくるから、交通や犯罪など危険が増大する。様々な意見があったが、結局通学の安全については親がしっかりと自覚した上で選択してもらう、逆に選択を可能にすることによって、通学の安全の問題を考えてもらう契機になるという合意に達した。小学校段階から全区の範囲で選択可能にしたが、通学途上の事故等が増加したとは聞いていない。
 さて、通学風景は日本とは全く異なるもので、当初は非常に新線が感じがした。日本ではみな同じ小学校に通うから、ある一点をめざして子どもたちは歩いていく。しかも子どもたちだけだ。ところがオランダはみな違う学校に通っているので、四方八方からやってきて、行く方向もばらばらだ。しかも、親と手をつないで歩く者や親子で自転車に乗って行く者。学校選択制度を実感させる光景だ。
 風車のある池を通って森の中にある公立学校は、日本でいえば小さい幼稚園という感じだ。オランダの小学校は8年制なので教室が8つあり、他に教員が休む小さな部屋と校長室、図書室とホールがあるだけだ。校庭というほど広くはない庭があるが、石畳なのでけっこう危険で娘が怪我をしたのもこの庭だ。体育室や音楽室、美術室などの特別教室は一切ない。オランダの小学校には通常そうした施設はない。実にシンプルであり、日本人がみたらこんなところで満足な教育ができるのかと訝るに違いない。尤もかなりの小学校を研究のために訪問したが、娘の通った学校は中でも小さな学校であったことは間違いない。


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 体育はヨーロッパでは一般的に社会体育といって、特に小学校の場合学校が施設をもっているのではなく、自治体の施設を使って授業を行う。授業をするのも学校の担任ではなく、施設に属している専門の指導員で、担任は引率していくだけだ。水泳の授業は市のプールに、マット運動やバスケットなどは市の体育館で行う。プールはもちろん温水だから一年中授業があるし、また、授業で使用しない時間帯は市民のために開かれている。土地の問題などで日本がこれから社会体育の体制になるのは難しいだろうが、学校の施設を共有することで社会体育的な運用をすることは可能だろう。社会体育の最も優れた点は専門の指導員が授業をすることで、スポーツの楽しさを教えられることと危険回避のための訓練を受けていることだ。日本では担任が教えるために、スポーツが嫌いな人もいるし、また教えるスポーツに習熟しているともわけでもない。日本の体育の象徴ともいえる運動会も、好きな人にとっては重要なイベントだが、嫌いな生徒にとってはひたすら耐えなければいけない苦行だ。オランダにはスポーツデーという数校が一緒に競技する遊びの延長のような運動会があるが、あれなら運動嫌いにも楽しめる。

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 学校教育の体育はあくまでも健康や楽しみのためのものであって、本格的な競争スポーツはやらない。もっと本格的にスポーツをしたい者は地域のクラブに入って練習をする。地域のクラブも市のりっぱな施設を使用するので、サッカークラブなどは本格的なサッカー場で練習する。そうしたクラブは多様なスポーツで用意されており、日本の学校の体育の指導よりはずっと本格的である。

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