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zoom RSS オランダの社会と文化 日本と比較しながら(29)

<<   作成日時 : 2006/07/29 23:25   >>

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 では実際の学校選択はどのように行われるのだろうか。
 小学校入学は5歳だから当然選択は主に親の意思による。子どもと一緒に学校に見学にいって子どもの意見を参考にすることもあるだろうが、親の主導であることは間違いない。オランダ人はすべて学校は選択するものだとわかっているから、前述したように熱心な人は早くから考え始める。学校選択はどのような学校を望むかという意識が多様であることを前提にしているのだから、選び方、その基準もまた多様である。
 まず仕組みから見てみよう。小学校の場合、学校側が提供する材料はふたつある。ひとつは学校開放日、もうひとつは学校ガイドである。
 学校開放は選択する親のために学校の様子を見てもらい、教師たちと交流する日である。実際に授業を見せる場合もあるし、授業は見せず説明を主体とする場合もある。必ず教師たちが説明したり質問に答えたりする。学校開放の日は地域新聞、市の広報、そしてスーパーマーケットの掲示などで知らされる。因みにスーパーには市民が小さなポスターを掲示する場が容易されていて、これが地域交流の重要な手段になっている。
 学校ガイドは最近義務化されたもので、学校の教育についてできるだけ分かりやすく知らせるためのパンフレットである。印刷物として用意されているがホームページにも掲載されているので日本でも読める。校長に聞くと作成はとても大変だと言っていた。内容はかなり詳しいもので、学校の沿革、教師、組織、教育内容、親の関わり、宗教教育や教育理念、生徒の活動、全国テストの成績、進学など学校の全体について分かりやすく書かれている。学校開放日に行くと配布されるが、前もってホームページで見ておく人もいる。
 このような制度的な情報提供も重要であるが、もちろん評判も大きな要素となる。こうした選択の模様は日本の都市部の幼稚園の選び方とたぶん似ているだろう。
 では選ぶ際の基準はどのようなものが多いのだろうか。
 100年の歴史のある公立・私立平等の下の選択では、当初はもちろん宗教的な理由が大きかったと思われる。もともとこの制度自体宗教勢力が公立学校優先に対する反対からできたものだった。しかし、今は宗教的な理由で選ぶ人は非常に少なく、多少古い調査だが、複数回答による理由でも4割程度である。9割以上の理由は、「進学準備」「親との接触」「教育理念」である。そして、通学距離や時間帯が続き、建物や友人関係は比較的少ない。進学準備というのは、繰り返し述べたようにオランダには入学試験はないから、あくまでも学力をつける教育をしているということである。VWOにたくさん進学していると、やはりあの小学校はレベルが高いという噂になるようだ。
 近所の子どもが行っているからというような友人関係で選択することは少ないが、別の意味で通っている層によって選ぶことは、20年ほど前から問題になっている。それは「白い学校と黒い学校」問題と呼ばれ、移民の生徒が多い学校を白人のオランダ人は嫌い、移民は好む傾向があり、それが社会的分離をもたらすのではないかという理由で社会的論議になってきた。
 オランダでは宗教を前面に出した教育をすることができるが、特にキリスト教系の学校の場合、入学者の信仰と学校の宗教が同じであるとは限らない。プロテスタントの学校にイスラム教徒の生徒が在籍していることも珍しくはない。ましてカトリックとプロテスタントの場合には、親の宗派が同じとは限らないし、まして子どもが宗教的な理由で選ぶわけでもない。キリスト教の学校は学力指導を厳格に行ったり、あるいはしつけが厳しいという評価が親を惹きつけている面が強く、あくまでも教育の質を選択している場合が多いのである。それは特別な教育理念をもった学校を選ぶ場合にはもっとはっきりしている。
 しかし、教育理念を明確にしている学校、特別な教育手法を取り入れている学校は、親が望んでも子どもに合わない場合もあり、それが原因で転校する場合もある。兄弟3人シュタイナー学校に入れられ、二人は溶け込めたが、自分はだめだったので公立学校に変わったという生徒と話したことがあるが、合わない場合に転校できるので特に問題はないようだ。あるユダヤ人の音楽家は、子どもを近くの公立学校に入れたのだが、あまり厳しく学習させないので、もっとたくさん勉強させてほしいと申し入れたが聞き入れられなかった。それでキリスト教の学校に転校させたと語っていた。やはりユダヤ人は教育熱心なようだ。私たちの子どもがいたのが、その厳しくない学校だったので、「あの学校の方針はあれでよい」と弁解していたが。ユダヤ人学校に入れたいという希望は感じられなかった。

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