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zoom RSS オランダの社会と文化 日本と比較しながら(30)

<<   作成日時 : 2006/07/31 20:16   >>

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小学校から中学に進学するときにはもう少し複雑な要素が絡んでくる。12歳で最初の人生選択をすることになるが、それは進学する学校に明確な格差があるからである。前にあげたように、それぞれ3つの種類の中学は大学、高等専門学校、中等専門学校へと接続し、社会の中で果たす役割が異なっている。途中変更が可能だとしてもやはり最初の選択は重要な意味をもつに違いない。
 最終的には親と子ども本人の意思であるが、決めるまでに様々な要素を判断することになる。
 まずは学校の普段の成績である。単に通知表に現れた成績だけではなく、勉強が好きなのか、あるいは別の適性があるのか、担任も一緒に考えるし、8年生になると本人が考え始める。また、進路指導に大きな役割を果たす校長は、たいてい8年生の授業を部分的に受け持ち、それぞれの生徒の能力や適性を実際の体験で把握するようにしている。
 次にCITOテストという全国テストがある。当初年1度8年生に対してのみ実施されていたが、今では幼稚園部分を除く全学年に年2度実施されている。参加は義務ではなく、学校ごとが任意に決める。しかし、特に8年生の成績は生徒の進路先を決める重要な資料となり、成績評価に適切な進学先などもアドバイスされている。
 更に中学から担当者が小学校に説明に来る機会が設けられているし、逆に生徒が中学を訪問する機会も設定され、その際には中学側から学校の教育・生活内容について現場を案内されながら説明される。
 そして何度か担任、親、生徒による面談が行われ、時には校長も参加する。そうして担任側からは適切な進学先がアドバイスされるし、それを参考に親と生徒が考えることになる。そうして最終的には前述したように親と生徒が決定するわけだ。アドバイスと決定が異なる場合ももちろんあるが、その場合には親の意思が優先である。
 中学の選択はもちろん学校類型だけではなく、個別の学校についても選択する権利がある。例えばVWOであってもいろいろな種類がある。1985年でVWOという類型が成立したが、その前は古典中心の中等学校や理系重視など別々の学校類型であったのを、大学に接続する類型としてまとめられたために、現在でもある程度VWOにも過去の性質を残した教育内容の特色があり、更に立地条件や教師の評判などを参考にして、個別の学校を選択していくわけだ。ただ、中学の場合には小学校と異なって規模が相当に大きくなるので、定員超過などはあまりおこらない。
 入学後も成績がよければ上位校に移ることも可能だし、卒業すれば接続された上の学校に進学するのではなく、上位校に編入することもできる。逆に成績が悪ければ退学させられることもあるので、入学後の生徒の移動も少なくない。
 中学後の進学は既に分かれているから、卒業試験に合格すれば、上級学校に自由に選択していくことができる。ただ、大学の場合には医学部は希望者が多いので、成績によって選抜されるのが普通である。成績が足りないと他の学部に移るか、ウェイティングリストに掲載されて次年度に期すかいずれかになる。原則的に大学でも大学や学部・学科の選択も本人の自由な選択に任されているが、近年の進学率の上昇によってアンバランスが生じないように、複数の希望を提出し、大学側が希望の範囲で振り分けることが多い。オランダでは大学間格差はないと考えられているので、生徒たちもどの大学に入るかはほとんどこだわっていないように感じた。現在大学側の入学試験はないが、検討している大学もあるようだ。ヨーロッパでも学力競争的な意識が進行しているので、オランダの大学でも入学選抜が導入される可能性は十分にあるだろう。
 高等専門学校と大学というと誤解する人がいるかも知れないが、高等専門学校といっても、日本では大学に相当する。戦前の日本の制度では大学は3年制の高校を経て3年制の大学があり、全体として6年制の高等教育機関であったが、それとは別に専門学校があった。、それを戦後専門学校と高校、大学を合体させ「新制大学」としたのが現在の日本の大学である。オランダは分かりやすくいえば今でも日本の戦前体制を維持しているわけだ。オランダの大学も以前は6年制だったので、4年制となった今でも卒業すると修士号が与えられる。

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