教育と社会を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS オランダの社会と文化 日本と比較しながら(35)

<<   作成日時 : 2006/08/06 12:04   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 1

 日本との違いをもう少し紹介しよう。
 日本では掃除は重要な教育課題となっているが、一般的にキリスト教圏では生徒に掃除をさせない。自分の机の周りを整理整頓することは求められるが、日本のように校長室やトイレなどを生徒が掃除することはなく、掃除婦を雇って掃除してもらう。
 また、日本では給食も単に食事をするだけではなく、食事を通して様々なことを学ぶとされる。もちろん、給食は戦後の食料難時代に子どもの栄養を確保するために行われた実際的な措置であるが、その後生徒自身が配膳等を行うことの意義が考慮されたり、また最近では「食育」という言葉を文部科学省が積極的に使用し、食事に関する教育を重視するようになっている。しかし、オランダでは他のヨーロッパの多くの国と同様、昼食は原則として家庭に戻ってとるものであり、親が働いていて帰ることができない場合弁当でも可としている。親が働いていても交代で友人の家庭で昼食をとることも盛んに行われており、我が家にも何度かクラスメイトが昼食にやってきた。学校でお弁当を食べるとき、ボランティアの母親が世話をするが、食べ終わると外に出される。つまり、昼休みは「学校の管理時間」ではなく、あくまでも家庭の管理時間となるわけだ。ここらは実に明確に境界線が引かれている。
 このふたつでわかるように、少なくともオランダの公立学校では、「しつけ」は重視されず、家庭の領域とされている。もっとも、宗教的な学校では宗教的なしつけを行うから、それが家庭のしつけの代用となっている部分もあり、しつけの厳しさを好んでキリスト教の学校に入れる親もいる。その学校とは異なる宗教的背景でもあまり気にしないようになっている。
 日本では箸の持ち方を学校でずいぶん教えるし、また、独特の教え方も開発されている。私の娘の担任は箸で豆をとる競争をさせて、正しい箸の持ち方を習得させていた。正しく、またしっかりと箸を使えないと、豆をとることはできないから、自然に持ち方が矯正されるらしい。オランダではナイフとフォークの正しい使い方が相当するが、そういうことは学校では教えない。日本では箸の持ち方を学校で教えると言ったところ、オランダ人の教師はとても驚いていた。一番最初にナイフとフォークでパンを食べるオランダ人の習慣を紹介したが、これも次第に減少しているようで、家庭でしっかり躾けられている若者だけの習慣になりつつあると感じた。
 以上のことでわかるように、オランダの公立学校では日本の校則にあたるようなものはほとんどない。もちろん、出席については厳しいし、教師のいいつけを守ることは当たり前のことだが、服装などのルールも全学校体系を通じてない。私の知る限りオランダに存在する学校で、制服があるのは外国人学校であるブリティッシュスクールだけで、私立学校でも制服は聞いたことがない。教材教具はすべて学校で準備されるから、ノートや鉛筆に関するルールなどは意味がない。日本的な意味での「生徒指導」という発想がないように感じる。
 ではいじめは存在しないのだろうか。
 もちろん人間が集まって生活しているのだからいじめは厳然としてある。世界のいじめ研究をした本によっても、オランダでのいじめは存在している。
 娘のクラスにイランからの亡命者の子どもの兄妹がいた。中産階級のオランダ人が主に住んでいる地域だから、イスラム系の住民は稀で生徒の中にもイスラムの子どもはほとんどいなかった。そういう意味で違和感があったのだろう、彼らはいじめの対象になっていた。
 もっともオランダ全体として、いじめはあるがいじめによる自殺などは聞いたことがない。被害者が学校に対応を求めても解決されなければ学校を変えれば済むからである。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
勉強になります
ホソピー@江ノ島
2006/08/07 08:04

コメントする help

ニックネーム
本 文
オランダの社会と文化 日本と比較しながら(35) 教育と社会を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる