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zoom RSS 北欧の教育を考える(1)

<<   作成日時 : 2007/10/17 20:45   >>

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北欧の教育(メモ風に)

 PISAにおいてフィンランドが学力世界第一位になったために、北欧の教育が注目されるようになった。その注目度はフィンランドが第一位であったために、群を抜いているが、これまではスウェーデン・デンマーク・ノルウェーのスカンジナビア三国が注目を浴びていたので、北欧福祉国家を全体として注目する機運ができたと言える。 新自由主義的な教育政策が先進国で横行している中で、唯一北欧の福祉国家がその対抗的地位を占めており、新自由主義の弊害が目立ってくるについても、やはり、北欧の現実や理論を学ぶことが重要であると考えられる。もっとも、北欧といっても、決して同じではなく、歴史的に同盟国家であったり、また、従属関係にあったりしたから、共通点も多いが、やはり丁寧に扱うべきだろう。ここでは、多少地理的に離れており、政治的にも緊密さという点で、アイルランドは除外して考える。
 さて、北欧教育が多様性を含みながらも、その重要な共通点を示しているのが、具体的には「森の幼稚園」であるように思われる。森の幼稚園はスウェーデンとノルウェーから始まったという説もあるが、デンマークで1970年前後に始まったという説にここでは従っておく。その後ドイツに紹介され、ドイツではかなり広まっているといえる。残念ながら日本では知られてはいるが、森の幼稚園として運営されているのは、極めてわずかである。
 「森の幼稚園」とは、文字通り、森の中で幼稚園の活動を行う幼稚園である。通常は幼稚園独自の建物をもたず、天候が悪くても、自然の中に出かけて一日を過ごす。
 何故「森の幼稚園」が北欧の教育の特質をよく示しているのか。まずこうした幼稚園が成立するために必要な条件を考えてみよう。
 大人にとっても「自然」は豊かなものを与えてくれるが、他方で危険にも満ちている。危険な動物がいるかも知れないし、また、きれいだが毒のある植物が生えているかも知れない。乱暴な遊びをしていて転んだりしたら、整った人工的な校庭よりも危ないことは明らかだ。木に登って落ちたりすれば、けがもする。このような自然の中で、小さな子どもが半日を過ごすことを考えると、子どもたち自身が、単に大人のいうことをそのまま鵜呑みにし、また、いわれないことは不用意に行動するようでは、実に危ない。普段、子どもを規制し、「こんなことしゃ危ないからだめよ」と禁止することが多い日本の親は、森の幼稚園など考えられないかも知れない。
 森の幼稚園が成立するためには、まず、子どもたちを信頼しなければならない。子どもを信頼し、必要な注意や説明を丁寧に、小さな子どもにわかるように話し、納得させなければならない。
 また、子どもたちが、大人を信頼し、また必要なときには大人に相談するような姿勢を形成しておく必要がある。そして、大人にいわれたことは、しっかりと守るような態度を養う必要がある。つまり、森の幼稚園を成立させるためには、子どもが自立的で、自由でありながら、自然をしっかりと観察したり、また、用心深く対処できることが必要なのである。北欧の子育ては、まさしくそうした子どもを目指している。
 分かりやすい例は「体罰」への対応だろう。体罰を肯定する人は、必ず「言葉で説明してもわからない子どもがいる」という。しかし、実際には、「子どもにわかるように説明できない教師がいる」のが実態である。北欧の子育ては、全くの例外がないわけではないだろうが、手記の中で語られる事例では、必ず、子どものやりたいことは、まず本人の意思であることを確認して、やらせるが、危険のないように大人はそばで見守る。また、子どもの意思で始めたことを、途中で放棄する子どもに対しては、それを始めたのは誰の意思であるかを確認しながら、子ども自身が自分の意思で始めた責任を自覚するように促す。どんなに小さな子どもでも、大人が自分の都合で何かを押しつけたり、禁止したりせず、必ず子どもの意思を尊重して、子どもの選択を保障するという。そういう中でこそ、自分が責任をもたねばならないことを、しっかりと理解していくと考えられているという。「森の幼稚園」はそうした子育てを前提にしてこそ、成立するものであり、また、そうした子育てを価値あるものと認めるからこそ、考え出された幼児教育組織である。
 では、実際に森の幼稚園の教育効果はどうなのか。
 ドイツには300の森の幼稚園があるとされるが、一般の幼稚園と森の幼稚園の子どもの身体能力や精神的能力の比較研究が盛んである。そうした研究のほとんどは、体力や敏捷性等の運動能力、注意力やイメージ力、表現力等の精神的な能力のほとんどすべてで森の幼稚園の出身者が上であることを示している。そして、森の幼稚園では、自然のことを学びつつ、環境問題の意識形成を中心の目標のひとつとしているから、子どもたち自身ができる環境問題への取り組みにも熱心であることが示されている。
 北欧の教育で目指されている人間像が、森の幼稚園で象徴的に現れていると考えるのである。

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