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zoom RSS NHKの「教師塾」報道について

<<   作成日時 : 2008/03/21 09:25   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 1

 昨日(3月20日)のNHK夜9時のニュースの小特集で、各地に広まる「教師塾」を扱っていた。教師塾とは、教育委員会が行う事業で、大学の3年生から4年生にかけての小学校教師をめざす学生に、現場での実践的研修を行わせるものである。東京が始めて、今ではいくつかの県が行っている。
 番組ではこの事業を「礼讃」一色で、どんどん広まって欲しいという立場で報道していたが、そうだろうか。この事業には大きな問題があることを無視した番組は、公正さを欠くとしかいいようがない。もちろん、これに応募する学生については、批判するつもりはないし、こうした機会があれば利用するのは、もちろん否定するものではない。ただ、そのことと制度の問題は別である。
 まず番組では、この制度に応募する学生の動機を、大学での勉強だけでは不安だから、もっと現場で勉強したかったという学生の発言で代表させていた。確かにそうした側面はあるだろうし、また現在の教育実習のあり方では不十分であることは確かだ。しかし、実際にこの制度に応募する学生の動機は、なんといっても、この事業に参加すると翌年の教員採用試験の合格が保障されることにある。つまり、合格内定を早くもらえることに、最大の利点を見いだしているわけである。中には、合格内定ではないということを示すために、落とす自治体もあるらしいが、それは学生の応募の意識を否定するものではない。
 そして、この事業を始めた側の理由が、現在の採用試験では適性のある人を採用しにくいというのであれば、採用試験を行っているのが、この事業を始めた主体と同じなのだから、実におかしな言い方になる。採用試験のやり方を改善することが先決なはずではないだろうか。実際、今の教員採用試験は、かなり問題がある。
 それから、この番組では、教師塾で育った学生が現場で活躍しているような報道をしていたが、本当にそうなのだろうか。番組で紹介された事例でも、番組が礼讃していたようには、私は感じられなかった。ここは詳しく書くと特定個人を非難しているようにとられる恐れがあるので書かないが、教師塾で育った教師と、採用試験を普通に受けてなった教師との比較は、丁寧に行われるべきだろう。実際の話として、教師塾の出身の新任教師が、学級崩壊させてしまったという事例を聞いている。
 この制度の最も大きな問題は、やはり「公正さ」の問題だろう。大学の推薦で事実上就職が決まるというのは、公務員である教師の採用として、適切とは思えないのである。実際に大学関係者の中には、そうした疑問をもつ者は多い。一般企業が「指定校制度」を撮っていたことに対して、特に指定校から外されている私学などが強い批判を加えてきたという歴史がある。今では指定校制度で特定の大学の卒業生した就職試験を受けさせない企業はないだろうが、指定校ではないにせよ、こうした採用試験の便宜を図るというのは、公正なやり方ではない。特にそれが公務員である場合なおさらだろう。
 しかも教育現場では、公正さは他よりも一層重視されねばならないはずであるのに。教師塾をやっている自治体の教育委員会は、概して「道徳教育」に熱心であるが、こうした不公正さは、道徳教育上問題はないのだろうか。
 もちろん、今の教師教育には多くの問題がある。教育実習はやはりもっと長く行うべきだし、採用試験の改善も必要だ。大学側ももっと教師の免許を出すことについて、丁寧な教育をする必要があることを自覚しなければならない。
 ただ、公正さに疑問をもたせるような改革はしてはならないのではないだろうか。

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
おっしゃる通りと思う。
まゆ
2009/07/07 01:55

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