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zoom RSS 国会の年金議論をきいて。国民総背番号

<<   作成日時 : 2008/04/07 22:33   >>

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 今日車に乗りながらずっと、国会中継を聞いていた。予算委員会の集中審議とかで、主に年金問題をやっていた。そのなかで、非常に興味深い発言を舛添厚生労働大臣が言っていた。それは、いろいろと事務的なことをやっているとどうしてもほしいのが、「社会保険番号だ」という発言だ。いってみれば、国民総背番号のことだ。ところで、この国民総背番号の議論というのは、非常にゆがんでいる。反対する側は、だいたい民主主義を重んじる人たちで、だいたいはプライバシーの侵害だということで反対する。他方賛成するひとは、収入の把握と経済の健全化ということで必要だと主張する。
 それぞれが、自分とは反対の人たちの考えにどう対応するかは、あまり関わらない。自説を主張するのみの論争がずっと続いていると言える。こういうのは、論争とは言わないのだろうが。日本の「言論」というのは、仲間うちの議論に終始するという、非常に閉塞的な状況がずっと続いているように思うが、国民総背番号制度の議論ほど、それが出てくるものはあまりない。
 プライバシーを重視したりする人たちの少なくない部分は、北欧の支持者だ。経済よりは国民生活重視だからだ。しかし、実は北欧こそが、最も広範かつ堅固な国民総背番号制度を実施している国なのだ。
 自民党はかなり一貫して、国民総背番号制度の導入を主張している。もちろん、自民党といっても、いろいろな立場があるから簡単にはいえないが、自民党は「家族」を重視している人たちだ。今回の年金や高齢者問題を議論していても、必ず基本は「家庭での介護」で、社会福祉としての介護はその補充であるという立場をとっている。
 しかし、国民総背番号という制度は、「家族」を国家政策の単位としては解体するものなのだ。日本は伝統的に、国家は家族と対している。戦前の家族制度はまさしく、そうした制度だった。国家は個人と関わるのではなく、あくまでも家族を通して、厳密には戸主を通して、国民を管理していた。もちろん、犯罪などは個人を裁くのだが、江戸時代になると、犯罪も家族責任となっていた。
 ところが、国民総背番号は、国民一人一人に番号をつけて、収入も税や福祉を管理するわけだから、家族は後景に退くことなる。事実、国民総背番号制度のある北欧福祉国家は、子どもの親への扶養義務は存在しない。扶養義務は成人前の子どもに対して親がもつものだ。つまり、北欧的社会では、成人したあとの家族は、文字通り「自然な人間関係によって成立」するものであって、そこに軸としての経済関係はないのだ。個人が収入をもち、個人が税を払い、国家は個人に福祉を実施するのである。もちろん、家族はあるから、家族を経由することはあるだろうが、それはあくまでも便宜的なものに過ぎず、基本は国家と個人の関係なのである。
 このようなベクトルがあることを承知で、自民党は社会保険番号、あるいは国民総背番号の主張をしているのだろうか。
 また、反対者はどうか。何故、北欧で、国民総背番号が実施されているのか、そのことについて、北欧の福祉政策を肯定的に紹介する書物で、きちんと書いてある本に出会ったことがない。しかし、北欧の福祉が高額な税の負担によって支えられていることは明らかであり、その高額の税を確実に徴集することに、国民総背番号が有効に機能していることは間違いない。もちろん、そのためには、透明度の高い民主主義が実現していることが不可欠であるが。
 こうした点を双方がしっかりと論点対応するように議論すれば、より生産的な議論になる気がするのだが。

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 名前≠ヘ、個人を特定するための代名詞にすぎない。公的には市役所の戸籍で管理されているわけだ。戸籍制度はプライバシーを侵しているのだが、一般的には、それは公益が優先すると了解されているのだろう。
 あなたが町を散歩していて知人と出会う。知人を認識するのは、あなたの視覚がとらえた映像と、脳細胞に貯えられたデータが名前≠ニ呼ぶキーワードを介して結ばれるからだ。あなたはそこで、個人認証の作業をこなしているわけだ。夕食の団欒では、奥さんにその話しをする。奥さんは伝聞情報を名前≠ニ呼ぶキーワードを介して彼女の記憶細胞に溜め込む。知人のプライバシーは、あなたの奥さんの脳細胞に記憶されるわけだ。
 個人認証の技術が発達すれば、散歩中のあなたの情報収集や奥さんのデータ蓄積を防犯カメラやネットが代わってくれる。それは友人関係やご近所づきあいの枠をこえて、年金や失業保険のような行政から、防犯や事件捜査などの警察の分野にまで広げられる。
 個人情報の収集と蓄積の手法の変化が量と質を変化させるのであって、家族制度とは、直接つながらないと思う。
罵愚
2008/04/08 08:15

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