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zoom RSS 大分の教員採用・昇任不正について

<<   作成日時 : 2008/07/17 17:31   >>

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 大分県の教員採用と昇進についての不正行為が、大きな話題になっている。この問題はふたつのレベルで考える必要があるだろう。
 ひとつは、多くの人が感じているように、大分だけの事例だろうかということに関連する。既に他の県でも程度の差はあれ、問題があることが指摘されているようだが、それとても氷山の一角だろう。そもそも、調査方法に問題があり、試験担当部署の人に、「何か不正はなかったか」などと質問をしても、「不正がありました」などという回答があるわけないのだから、これまでに他県での例があるということが指摘されていること自体、第二の問題に関わることを予想させる。さて、他にもあるだろうということについても、決して、このようなあからさまな不正だけに目を向けるべきではない。むしろ、教育界全体(教育界だけではないというべきだが)にわたって、「公正」という原則がどんどん失われつつあるという点が問題なのである。お金を出して、採用試験で合格にしてもらったり、昇進をさせたりすることは、もちろん、公正さに反する程度が大きいが、採用試験に関しては、近年いろいろな自治体が、青田刈り的な採用方法を押し進めていることも、見逃すべきではない。大学に推薦数をわりあてて、大学から推薦させ、在学中に1年弱の講習を受けさせることで、事実上無試験で合格させるシステムである。東京の教師塾から始まって、いくつかの自治体で行われ、また、別に一次試験を免除する方法も導入されている。それも大学に割り当てる形で行われている。
 これは、大学割り当ててがあることが、「公正」さに大きく反しているし、また、必要だから行われているはずの採用試験が免除になるというのも、また大きな問題であろう。 公務員試験は、公正な競争試験であることが、法律で規定されている。もちろん、教員採用試験は、競争試験ではなく、選考によるのだが、「公正さは必要ない」という規定と解釈するのは、もちろん間違っている。この場合、公正さとしてのひとつの要件は、「応募条件を満たしている者には、等しく機会が開かれている」という意味である。予め特定の大学に、合格割り当てをすることが、公正な機会に反することは言うまでもない。
 公正さを欠いたところで、どんな「道徳教育」が行われるうるのか。このような公正でない教員採用のシステムを導入している当局に、ぜひ聞いてみたいものだ。今回の大分の事例は、他の手法に関しても「公正さ」の検証として、もっと別の事例についても行われるべきである。
 
 第二の問題は、なぜ今このような形で問題が明らかになったかという点である。もちろん、不正が明らかになるのは、時期を問わず好ましいことだ。放置することはそれだけ不正が続くことなのだから。しかし、大分についで、調査されると、10以上の自治体で不正があるらしいということになった。これは、かなり裏があると考えざるをえない。
 私が見る限り、これは、教育委員会の権限を強化した小泉分権路線への、文部科学省の権限奪還政策の一環だろう。もともと、法制的に、文部科学省と教育委員会は、「同格」であり、決して上下関係ではない。しかし、長く、県教育長の承認制を軸として、事実上の上下関係に置かれていた。しかし、分権化の流れの中で、この承認制が廃止され、実際的にも、文部科学省と教育委員会は「同格」であることが、再認識され、実際、学力テストの実施においては、唯一ではあるが、文部科学省の要請に答えず、学力テストを実施しない自治体が出現した。文部科学省はそれに対してなす術もなかったわけである。
 法政上の改訂によって、再びこの上下関係を実現することはできなくても、教育委員会の汚点をさらけ出して、文部科学省が介入する機会としては、こんなにかっこうの材料はない。
 採用の不正はもちろん正さなければならないが、この点についはもっともっと吟味すべき点がたくさんある。しかし、この事件を梃子にして、文部科学省と教育委員会の上下関係を復活させようとする動向に対しては、明確に反対していく必要がある。しかし、各種メディアがこの点について、ほとんど指摘していないのは、メディアの役割を忘れているといえよう。

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教員不正採用のゆくえ
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ブログ界の正論
2008/07/17 23:13

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やっほお空間
2009/04/07 16:50

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