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zoom RSS 文部科学省は教職の魅力をなくしたいらしい

<<   作成日時 : 2008/08/24 22:38   >>

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 2008年8月24日の朝日新聞に、「教員給与マイナス要求 文科省、特別手当75億円分」と題する記事が出た。記事によると、文部科学省は、教員給与にめりはりを付けるために、管理職の手当は引き上げ、教員の特別手当を3%から2.2%に引き下げるという方針だそうだ。引き下げるという「要求」を文部科学省がしているのだから、財務省としては、喜んで応じるだろう。
 「またか」という感じだ。文部科学省は、おそらく日本の義務教育学校、あるいは初等中等学校を破壊しようとしているのだろうかと、思わざるをえない内容だ。
 日本人の多くは逆の印象をもっているかも知れないが、教師の質は日本は非常に高く、また、教師になりたい人が多いという、先進国では珍しい国が日本なのである。もちろん、他にないわけではないが、欧米諸国の多くは、教師になりたい人が少なく、いつも教師不足で悩んでいる。なりたい人が少ないから、当然教師の質も下がるわけである。
 しかし、おそらくここ20年間、文部科学省は教職が魅力ある職業である条件をどんどん削ってきた。奨学金の返済免除の廃止、勤務時間の長時間化にもかからわず、特別手当の引き下げ、初任者研修の義務付けとそれに伴う条件付き採用期間の1年への延長、10年経験者研修の義務付け、不適格教員という攻撃、そして、教員免許の更新制の導入等々。まだまだあるだろう。
 しかし、こういう流れの中で、不況の時期が長く続いて、教師になりたい人々はまだまだ少なくなっていないが、今後団塊の世代の定年時期が過ぎて、若手の採用が伸びたりすれば、すぐにでも教職希望者はどんどん減っていくに違いない。そうすれば、教育の質も下がり、資源が少ない部分を、労働力の質の高さで国の経済を維持している条件そのものが崩れていくに違いない。
 
 記事の内容を見よう。
 教員に対する特別手当というのは、もちろん、教師に対する「超過勤務手当」を支給しない代りに、超過勤務をさせる内容を限定した上で、手当を支給するというものである。しかし、教師は実に忙しい職業であって、特別手当支給分より、圧倒的に長い時間の勤務を強いられているのが実情である。親との対応などが大変になってきた近年は、特にその負担も増えている。教師に精神疾患で休職する人が多いことは、このことと密接な関係があると考えざるをえない。その上、手当が減らされるのであれば、なり手が減るのは明らかだ。
 しかし、文部科学省は管理職の手当は増やすという。何故だろう。教育活動の中心を担っているのは、管理職ではない。校長や副校長、教頭は、通常授業をしない。
 稀な例外を除けば、教師になりたいと理想をもって勉強する学生は、管理職になって学校を運営したいと思うわけではない。子どもの教育活動を一生懸命やろうと思って、勉強するのだし、また、教師になった頃はそうした情熱が大半を占めているはずである。だから、本当に情熱をもった教師は、管理職を目指す人は少ないはずだ。もちろん、管理職は重要な仕事だから、否定するつもりはないし、また、りっぱな人がなるべきだろう。
 しかし、大分県の事例を見ればわかるように、管理職になりたい人が、そして、その意識が強い人が、不正に手を染めていた。定年まで子どもを教え続けたいと思っていた教師は、大分県でも、不正はしなかったはずである。
 つまり、管理職の中には、教育的情熱をうしないかけた人が、少なからずいるという事実を否定することはできないのである。不正はなかったとしても、そのことは大分県だけのことではないはずだ。そして、そういう人の手当は増やすというのだ。何を考えているのか。
 
 実際に現場で起きた事例だ。
 ある学校で、学級崩壊に近い状況になったので、担任を1月ほど病気にし(もちろん、本当ではない。)代りに手分けをしてその学級を見ることになった。そして、校長等の管理職もいくらかの分担をした。しかし、校長は、威圧的に子どもたちに接したために、校長といえども、子どもたちから手ひどい扱いをうけ、学級崩壊状態を解決するどころか、校長が火を注ぐような結果になってしまった。
 卒業間近だったので、なんとか、多少秩序が回復され、担任が戻って卒業した。
 しかし、年度が改まって、またまたある学級が心配になったので、TAのような形で、他の教師がときどきその学級に入ることになったそうだ。もちろん、ほとんどの教師は自分の授業があるのだし、担任をもっている教師は、自分のクラスを犠牲にして入らざるをえない。こういう場合には、当然、免許更新講習を免除されるほど、優れた教育者として認定されている校長や教頭の出番だろう。しかし、その校長は、前のときの子どもたちの反逆に懲りて、どんなに教師たちの要請があっても、自分はやらないといって、あまり効果のない「指導」を教師たちにしているという。
 残念ながら、これに似た話は、よく聞かれるのだ。
 
 何故こういうことが起きるのか。それは、管理職と一般教師を区別し、管理職を優遇する、そして、管理職をますます「教育職」から遠ざけ、管理労働ばかりさせるようにしている点にある。校長は教師の先輩として、一般教師を指導するといっても、実際に授業から離れた校長が、適切な指導ができると考えるほうがおかしい。
 
 もちろん、教師の手当を下げるなどということは、決してやるべきではない。もし下げるなら、むしろなくして、労働基準法に基づく超過勤務手当を支給する「当たり前の体制」にすべきだろう。それなら、校長も安心して、残業を命令することができるというものだ。

−−−以下朝日新聞
 文部科学省は、09年度予算案に向けた概算要求で、教員給与を「マイナス要求」する方針を固めた。一般公務員より優遇が法律で義務づけられている教員給与を引き下げる政府内合意に基づいた内容だが、文科省もこれまで教員給与の充実を求めてきただけに教育現場から反発が出ることは必至だ。

 概算要求では、教員に支払われている義務教育等教員特別手当を現在の本給の3.0%分から2.2%に引き下げる。この手当は07年度まで3.8%だったが08年度は1年間のうち3カ月分に限って3.0%にしていた。これを通年に広げる。この二つの影響で、合計75億円が減額されることになる。

 これとは別に、「メリハリある教員給与体系」のために校長や副校長、教頭に支払われる管理職手当は引き上げ、5億円増の増額要求をする。ただし、特別支援教育に携わる教員らに支払われる調整額は4億円減額するため、計1億円の増にとどまる。

 教員給与は人材確保法で一般公務員より優遇することが定められている。しかし、政府全体で歳出削減が進んでいるため、教員も例外とせず、給与全体の2.76%を削減することで06年に政府内合意された。07年度予算では削減を先送りし、08年度は部活動手当の引き上げなどで「相殺」したが、09年度は確実に下がることになる。

 文科省は当初、「残業代」の代わりに本給の4%分が支給されている教職調整額の制度見直しを通じて、09年度も増額要求することを検討した。有識者会議でも「教職調整額に代えて時間外勤務手当制度を導入することは一つの有効な方策」との結論が出たが、時間外を導入すると勤務管理など学校運営にも大きく影響するため、中央教育審議会(文科相の諮問機関)で改めて審議することとなり、先送りされた。

 文科省はこのほか、来年度から移行措置が始まる改訂学習指導要領の円滑な実施に向けて、非常勤講師1万1500人分の手当(1人当たりの実働週40時間で換算)を概算要求に盛り込む。08年度予算では1千人増が認められた教職員定数は1500人増を求める。(中井大助)


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内 容 ニックネーム/日時
「メリハリある教員給与体系」で、やる気のある教員に給与を増やすならいいけど、どっちかというとやる気のない教員の給与をへらす、首を切る方向に力点が置かれているので、大概の教員は不安になりますし、あえて危険は冒さなくなる気がします。へらすなら、はっきり減らすといえばいいいです。そこいら辺が姑息です。
ある大学教員のたわごと
2008/09/24 20:53

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