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3月13日の各紙に、性教育をめぐる都立七生養護学校をめぐる訴訟の判決が報じられている。例によって、各紙でニュアンスが違うが、事実は主要な新聞はすべて報道している。 この事件は、七生養護学校の教師たちが、知的障害のある生徒にもわかる教材を工夫し、独自に作った人形などを教材にして、性教育に取り組んでいたことに端を発する。性教育は非常に難しく、しかも障害のある生徒への性教育は、ほとんど未知の領域であるといってもよい。にもかかわらず、重要な問題で、あまり指摘されなかったが、昨年千葉で起きた障害をもつ青年による幼児の誘拐殺人は、性の問題はもちろん、性教育に関わる事件であったと思う。 この七生養護学校の実践は、当初東京都の教育委員会によって、高く評価されていたことは、よく知られている。(しかし、その事実は今回の新聞報道には指摘されていない。)従って、教育的には、もちろんすべての人が賛同するものではないかも知れないが、意欲的な優れた実践として、受け入れられていたのである。 しかし、何故か理由はわからないが、(現場を知る人の話では、選挙にまつわる政治的な目的で起こされたという面があるらしいが、事実はわからない。)新聞で報道されている自民党と民主党の都議会議員によって、クレームがつけれらるようになり、攻撃が加えられるようになった。そして、その議員たちは都教委職員と学校訪問し、朝日新聞によると、次のようになる。(インターネットバージョンでは含まれていない。) −− 3都議は03年7月4日、都教委の職員と学校を訪問し、保健室で校長らに性教育の教材の提示を求めた。2人の養護教員が性器がついた人形などを並べると、都議らは写真を撮るなどしながら「常識では考えられない」「不適切なもの」などと話した。 都議らは養護教諭に「こういう教材を使うのはおかしいと思いませんか」「感覚が麻痺している」などと教材が不適切だと決めつけ、教諭としての資質を疑問視する質問をしたり常識的な感覚が欠如しているという趣旨のことを述べて非難したりした。 養護教諭は反論を考えたが教頭らから制止され、都教委の職員らも批判や非難を抑止せずに傍観していた。 −− これらの行為が不当な支配であると認定されたわけだが、朝日によると、都議は「質問しただけ」「視察で圧力ではない」ということと更に「この程度の賠償金で都の性教育が正常化されたなら安いもの」と話したという。都教委も「組織的な偏向教育に対する新任校長の制止も聞かなかった」と判決に反論したという。 ここには、多くの問題点がある。 そして、3人の都議と都教委の姿勢こそ、重大な問題をもち、かつ、誤った介入しているといえるだろう。 まず、この教育の内容の評価が重要である。私はこの七生養護学校の教師がやっていた性教育は高く評価できると考えている。日本はほとんどまともな性教育はない。おそらく今でもそうだろう。ただ、性に関する情報は氾濫しているので、そうした正しくのも、間違っているのも、また問題あるのも、混在した情報を、子どもや少年たちは、様々な方法で得て、とりあえず性的なことを理解していくのだろう。問題はあるとしても、とりあえず情報に対して開かれている。 しかし、知的障害をもった子どもは、そうした情報が届く可能性が極めて低いのは自明のことである。しかし、性的欲求は同じようにもっている。従って、何ら適切な対応がなされることなく、体は成長していく。 教育者として、この問題に取り組むことは、避けてはならないことのはずである。そういう中で、七生の教師たちの努力は、そこに修正した方がいい内容があったとしても、それはあくまでも建設的な助言としてなされるべきであり、全体として高く評価されこそすれ、非難されるべきものは何もない。「感覚が麻痺している」と都議は述べたそうだが、その都議こそ、感覚が麻痺していると言わざるをえない。何も教えられないままの生徒に、純潔教育的な性道徳を教えていればよいとでも考えているのだろうか。 都教委もまた大いに問題があるだろう。当初その実践を高く評価していたにもかかわらず、自民・民主という政党の議員が騒ぎだすと、抑圧する側にまわり、教師たちの努力を制止する役割をもった新校長を派遣する。一番やってはいけないことをやったというべきだ。 当初高く評価していたのだから、もちろん、多少評価が変わり、問題があると認識することはあるかも知れないが、そうだとしても、どのような教育が適切なのか、建設的な議論の機会を設けるべきであって、政治的な非難を加える場を設定するなど、見識ないやり方そのものであろう。旧教育基本法ならもちろんのこと、現在の教育基本法であっても、不当な支配というべきである。 次に、この都議たちの「姑息な態度」はどうだろう。 実際に、この教師たちは、「厳重注意」をされたのである。これを「単なる議論」とか「質問しただけ」というのは、語るに落ちるというしかない。この人たちにとっては、非難と圧力が議論だと思っているらしいから、ごく常識的な「議論」などはやったことがないのかも知れない。 出産時に死亡した事例で産婦人科医が起訴されたことで、医者が萎縮し、産婦人科医が目立って減少したように、この事件(厳重注意と政治的圧力)は、教師たちを萎縮させ、必要な教育活動から逃避する傾向を生み出している。教師を萎縮させて、どのように教育を活性化させるのか。都教委は真摯にこの判決を受けとめる必要がある。 |
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Web屋のネタ帳 2009/03/15 18:04 |
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