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zoom RSS 成年年齢の引き下げに賛成する

<<   作成日時 : 2009/08/06 21:59   >>

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 各新聞で大きく報じられたが、法制審議会の「民放成年年齢部」が7月29日に最終報告書をまとめた。9月の総会にかけられて、決定されれば正式な答申となるという。報じられたように、成年年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるというものである。報告書をまとめるに際して、さまざま分野から意見聴取をしたが、その中には、大学生や高校生も含まれている。審議のきっかけは、国民投票の資格を18歳としたことから、選挙権を18歳にそろえる必要があるのではないか、という問題意識だったようだ。しかし、民法上のさまざまな領域に大きな影響を与えるだけではなく、親の子どもに対する教育や高校などにも関係してくるので、かなり幅広い検討をしたようだ。
 報告書に書かれていることとは、別に、私自身の大学教師としての立場から、この問題を考えてみたい。

 結論的にいえば、18歳への引き下げは大いに賛成である。
 高校までの教育と大学の教育に対して、絶対的な区別をするべきではないと思うが、それでもやはり、実際上も、また、理念的にも高校までの教育と大学の教育は異なると考える。端的に言えば、高校までの教育は、学ぶべき内容の大筋が与えられるものであり、大学での教育は、自らが課題を見つけ出して、それを専門的に深める学習・研究をするのものであるという違いといえよう。つまり、大学での学習は、自立的なものであり、大人の作業である。これは、大学が専門教育機関であるということからくる。
 そして、国際的にみて、ほとんどの国では、大学生の年齢は成年に属しているのである。そして、欧米諸国では、成年のかなり幅広い年齢層が共に学んでいるのが普通である。アメリカの大学生の3分の1は通常の大学を卒業した年齢に属する人たちであると言われている。しかし、高校までの生徒は、ほぼ同年齢集団である。
 このような大学の性格から考えて、私は、学生には「大人であること」をを求めたいし、また、そのように話している。「大学生は大人であり、大学は学生を大人として扱っている」と。
 しかし、残念ながら、法律上、学生の前半は大人ではないし、また学生たちもほとんどは「子どもであるという意識」を抜け出していない。もちろん、一概に決めつけることはできないが、まだまだ自ら課題を見いだして、自立的に学習するという姿勢は微弱で、与えられることを主にこなす学習態度の者が、多いのではなかろうか。もちろん、成年年齢を18歳にして、大学生を法的に成人であると規定したら、すぐに自立的な学習態度が身につくわではないだろう。しかし、法律が変われば、大学としての姿勢も変わるし、また、親の姿勢も変わるだろう。その結果として、学生自身、徐々に大人の意識をもって入学し、大人として、自立的な勉学をするようになるだろう。
 法的に大人となれば、経済的にもできるだけ親からは独立する必要があるし、また政治はその分の補助をする必要がある。

 報告書の中で、以下の部分については疑問があるので、書いておきたい。それは高校教育における生徒指導が困難になるおそれがあるというのである。(答申15ページ)

 「現在の高校における生徒に対する生活指導は、原則として親権者を介して行っているところ、民法の成年年齢を引き下げると、高校3年生で成年に達した生徒については、親権者を介しての指導が困難となり、教師が直接生徒と対峙せざるを得なくなり、生徒指導が困難になるおそれがある。高校3年生という時期は、大学進学や就職など生徒にとって重要な時期であり、このような時期に適切な指導ができなくなるとすれば、大きな問題であるということができる」

とある。高校といっても多様だろうが、高校の生徒指導は、生徒と直接対峙しないのだろうか。通常は生徒と対峙して、生徒指導を行うのではなかろうか。親が登場するのは、特別な場合だけだろう。進学の最終的なつめとか、何か問題がある場合とか。そして、そういう場合には、成年年齢が来たから機械的に対応が変わるなどということは、常識的に考えられない。高校生という存在形態が変わるわけではないのだから、その間は同じような指導が継続するはずである。大学も、大学2年生までと3年生からとは、成年年齢に達するという画期があるのだが、別に変わるわけではない。必要なら、途中で成年年齢に達したとしても、学校・生徒・親の基本的関係やあり方は維持するという契約にしておけばよいだけだろう。

 いずれにせよ、最終報告にも述べられているように、成年年齢を引き下げることで、青年の自立を促進するように、社会的に働きかけるべきであり、そして、必要ならば、それを援助する社会的システムを構築する必要がある。成年年齢が高いことによって、その双方ともが曖昧であったのが、これまでの日本社会・青年だったのではなかろうか。

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