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zoom RSS 全国学力テスト開示問題(2)

<<   作成日時 : 2009/08/13 22:47   >>

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 全国学力テストへの参加は、一応は、市町村教育委員会が決めることになっている。それは、全国学力テストの対象である義務教育学校の設置者ということである。だから、私立学校は、学校法人単位となる。しかし、何故、学校が参加意思を決めることができないのか、あるいは、何故生徒一人一人が、参加意思に関する選択ができないのか、法的にはきちんと決まっていないはずである。私が調べた限りでは、全国学力テストに関する法令は、

文部科学省組織令
二 児童及び生徒の学力の状況に関する全国的な調査及び分析に関すること(生涯学習政策局及びスポーツ・青少年局並びに児童生徒課、特別支援教育課及び国際教育課の所掌に属するものを除く。)。

という部分のみである。これに基づいて、全国学力テストが実施されているわけだ。あとは文部科学省の匙加減ということになるのだろう。

 多くの人は、たとえば修学旅行は、学校が決めたら、参加義務があると思っているかも知れないが、修学旅行は任意参加である。実際に参加しない生徒もわずかではあるが存在する。そもそも、日本の義務教育制度というのは、こうした何が義務なのか、あまり明瞭ではないし、落第もないし、不登校でも卒業できてしまうという、極めていいかげんな制度なのである。もし、個人が全国学力テストへの参加を拒否したら、それは許されるのだろうか。形式的には許されそうだ。何しろ、60年代の全国学力テストでは、学力の低い生徒を意図的に休ませる学校がけっこうあって、それが問題とされた一つだったのだから。しかし、これは当日欠席というレベルであって、自分は参加しないという意思表示ができるのか、ということである。
 文部科学省は、この全国学力テストは、学力の「調査」であると言っている。とするならば、当然調査を受け入れるかどうかは、受ける側の自由なはずである。実際に、様々な調査があるが、調査を受ける側に強制するということは、私の知る限りは、「国勢調査」くらいしかない。国勢調査は、統計法という法律で決まって実行されているものであり、そこには、明確に全数調査であることが明記されている。(もっとも拒否できるかどうかは、規定されていないようだ。不在等で調査できなかったときには報告するという規定があるのみである。拒否の場合もここに入るのだろう。)
 近年調査に関わる「倫理問題」が非常に厳しく問われるようになり、調査が実質的に任意であり、強制ではないこと、個人情報管理が厳格に行われ、プライバシー侵害になるようなことがないことの保障をきちんとしなければならないことが、社会的通念となりつつある。
 つまり、この調査は自由意思によるものであり、強制ではないことが、「明示」されねばならないこと、データの使用方法が調査を受ける者が、調査実施前に、正確に示され、その通りに実施されること、これが必須要件なのである。

 全国学力テストは、この調査倫理を満たしているのだろうか。生徒一人一人に、この調査は自由意思による参加であること、調査結果は、**のように利用され、それ以外に個人情報として利用されることは決してないこと、等々が実施前に、示されているのだろうか。はっきり言って、いないに違いない。
 とすると、文部科学省は自ら、いまでは社会常識に属する調査倫理を破っていることになる。
 公開請求する側にとっても、その問題を無視することはできないはずである。調査を受ける者が、調査倫理を経ずに行われた調査データを、それが公費を支出したからといって、個人情報の集積であるデータを、開示請求できるものだろうか。

 まったく別の側面から検討してみよう。
 もし、全体傾向を掴むためのものだけではなく、学校単位や個人単位でも学力の実態を知ることで、学習・指導の資料とすることも目的であるというかも知れない。それなら、学校単位の分析や個人の分析が付加されねば、意味がないことは昨日書いた。しかし、そういう個人的な利益のためのものであるなら、何故、国家が費用を負担し、個人が負担しないのか。予備校の模擬テストは、個人が費用を負担し、その見返りとして、個人の成績の分析を返すわけである。もちろん、受けたい者だけが費用を負担して受ける。
 程度はずいぶんと低いものらしいが、とにかく個人のデータは生徒に渡されるという。とするなら、本来個人が負担すべきものを、国家が強制的に受けさせ、そしてデータを国家負担で処理し、個人に返すという、公費支出上、あまり説明できないことが行われているのである。しかも、この費用は60億にもなるという。

 開示を安易に請求する前に、こうした原理的問題をまずはじっくり考え、回答を出した上で主張すべきであろう。


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