教育と社会を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 高速道路無料化問題を考える−オランダを参考に

<<   作成日時 : 2009/09/08 19:39   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

 民主党の政権となり、いろいろと政策に関する話題が活発にメディアでも議論されているが、その一つとして「高速道路の無料化」がある。前に一度書いたが、私が少々勉強しているオランダの事情を踏まえながら、再度問題を整理してみたい。
 欧米では多くの高速道路が無料であることは、段々知られるようになってきた。しかし、すべての国で無料なわけでもないし、また、原則無料な国でも有料の部分がたいていはある。
 ところで、問題となっているのは、高速道路であるが、高速道路だけ考えてもおかしなことになるし、また、どのような問題を考えるかという、問題の幅も十分に考慮しなければならない。単に経済効果だけではないはずである。
 おそらく、
1 経済効果
2 環境負荷
3 他の交通機関とのバランス
等が最も大きな課題だろう。
 経済効果については、国土交通省の試算なるものが、今までないと言明されてきたのに、実はあったし、その試算は比較的民主党の試算と近いものがあるということもわかった。全体としての渋滞が減少することで、温室効果ガスの量も減るという試算らしい。
 今回の議論で一番気になっているところは、3を含めた全体像の問題である。実はここにオランダの事例を参考にする意味があると思っている。
 オランダの道路、あるいは交通政策は、極めて参考になると思っている。

1 オランダの道路は、極めて古い都市の市街地以外は、非常に走りやすいこと。特に高速道路の走りやすさは、私はEUで一番だと感じている。旧東欧諸国はチェコとスロバキアしか走ったことがないが、旧東欧が加盟する前のEUでは、スペイン・ポルトガル・ギリシャ以外は走った経験がある。その中でオランダの道路、特に高速道路は最も安心して走ることができる。それは、国土が平坦であるということもあるが、合流のための部分が非常に長くとってあるので、合流する側、される側が十分に相手を認識しながら、調整できるようになっていること、そして、120キロ制限がかなり厳格に守られていることである。
 更に一般道については、これも旧都市の市街地部分は違うが、車が通る道は、どんな部分でも、段差のついた歩道があることと、比較的車の多く通る道路では、更に自転車道があり、歩道、自転車道、車道が、はっきりと分かれている点である。日本の道路では、歩行者、自転車、車が互いにこわごわ走ったり、歩いたりしなければならない道路が、無数にある。
 そして、最後に信号が、進路別に区分されている点である。日本では、直進と右折、更に車と歩行者が区別されていないために、常に、曲がるときに細心の注意が必要である。運転する人で、ひやっとした経験がない人など、ほとんどいないだろう。しかし、オランダでは、車が進んでよいときには、歩行者は赤だと考えてよい。もちろん、すべての信号がそうではないが、こうした区分された信号が多数である。他の国では、日本流の非区分型がたくさんある。

2 なぜこのようなことが可能なのか、これは道路行政の特質による言える。
 1950年代のオランダのビデオを見ると、今のアジアの人口の多い都市のような交通状況であったことがわかる。広い道路に車、自転車、歩行者がまったく乱雑に散らばっているという感じで、事故も多かったらしい。急速に車が増え、道路も区分のないものだった。そこで、道路整備委員会のようなものが作られ、安全な道路のあり方を研究していったのである。このようなときに、オランダは、政府と有識者が集まって決めるなどということしない。必ず、その地域に住む人びと、有識者とはいえないが、関心のある人、道路を作る企業の関係者が、役人や専門家と一緒に委員会を構成するのである。日本だったら、せいぜい「公聴会」のようなところで意見を述べて終わりだろう。
 オランダ流は、時間がかかる。参加者の間に利害の対立があるだろうし、また考えの違いもあるはずだ。しかし、時間をかければ、問題点も逃す危険性はないし、また、納得すれば、スムーズに実行できる。私が今住んでいる地域には、途中まで道路を作ったが、まったく不自然な形で途切れているような道路が少なからずある。これは、住民の意思を十分に聞かずに見切り発車して、結局途中で計画が住民の反対により、頓挫しているのである。このようなことは、オランダ流ではずっと起きにくいだろう。
 また、地域住民が入ることで、安全という観点が重視されることになる。日本の道路は、とにかく車中心に出来ている。「歩道橋」などは、その最たるものだろう。オランダで歩道橋をみた記憶がない。歩道橋は無駄の象徴でもあるといえる。私の住んでいる地域では、ほとんど利用されないが、壊すのも費用がかかるので、放置されている歩道橋がたくさんある。
 このような関係者ができるだけたくさん集まって決めていくことの、最もよい結果が自転車道の整備ではないかと思う。オランダは、先進国で最大の自転車利用国であることは、よく知られているが、これは、国土が平坦であるということに加えて、環境問題なども考慮して、自転車利用を拡大する政策の結果でもある。自転車利用は自転車道だけではなく、いろいろな工夫がされているのである。
 例えば、通勤で自転車を利用すると、日本ではどうだろうか。もし、バス路線があったら、日本なら確実にバス通勤の手続をするのではないだろうか。しかし、今ではあまり普及していないらしいが、オランダでは、自転車通勤手当を支給する企業などもあったという。国もそれを奨励する。話を簡単にするが、バスの一月定期が1万だったとする。自転車でも十分可能だからバスを利用しない者に5千円の手当を支給する。すると、企業は5千円負担が軽くなるし、通勤者もバスは実費だが、自転車ならまるまる自分の収入になるのだから、得である。

3 他の交通機関・輸送機関とのバランスも日本よりずっと考慮されているといえる。オランダの主な交通機関は今でも国の運営だし、道路も税金で運営されているから、総合的に政策化しやすいわけでもある。オランダは、環境被害を受けやすい国でもあるので、地球温暖化には敏感で、交通機関もこの観点が重視されている。自転車利用も、ガソリン税を高くすることで促進したり、また、バスや列車に対する様々な割引制度を設けることで、車より公共交通機関を利用するように仕向けたりする。国内や隣国との物資輸送には、今でも船がたくさん利用されている。

 以上、高速道路もそれだけで考えるのではなく、他の輸送機関とのバランスが十分考慮されなければならないのは、当然で、1000円一律でフェリーがたくさん経営危機に陥ったなどということは、あってはならないことだろう。思いつき的な政策ではなく、関係する人びとが平等に、十分に話し合うことを経て決めていくこと、これが、長い目でみれば、社会的コストを低くし、パフォーマンスを高めることになるということが、オランダを参考に考えると、見えて来るのではないだろうか。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
高速道路無料化問題を考える−オランダを参考に 教育と社会を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる