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zoom RSS 教員免許更新制度は、早急に廃止すべき

<<   作成日時 : 2009/09/13 10:54   >>

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 9月13日の各紙は、民主党政権は教員免許更新制を廃止する方向であると報じている。それに対して、産経新聞は次のような記事を載せている。

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 教員免許更新制度は安倍晋三内閣が教育再生の目玉として導入を決めたが、民主党の有力支援団体である日本教職員組合(日教組)が強く廃止を求めてきた。政権交代により教育改革路線は一気に後退する公算が大きい。
 輿石氏は「教員免許更新制は変えなければならない。できるだけ早くやる方向になる」と明言、来年の通常国会での改正案提出についても「当然あり得る」と述べた。平成23年度から免許更新制を廃止することにも「間に合えばそうする」と前向きな考えを示した。 指導力不足の教員排除を可能とする改正教育職員免許法は19年6月に成立。教員は10年ごとに計30時間以上の講習を受け、認定試験で不合格となれば、2年以内に再試験で合格しない限り、教員免許が失効する。(産経新聞2009.9.13)
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 この免許更新制度が改革の目玉であるということは、安部内閣が如何に内容のない改革をしてきたかということの証拠に過ぎない。日教組が反対するのは当然として、日教組に加入していない一般の教師も、ほとんどは反対しているはずであり、これを実施している大学も迷惑に思っているのである。従って、これに関係している人たちからは、廃止は多いに支持されるだろう。
 産経新聞が上のような認識をもっているとしたら、この新聞社が如何に事実がわかっていないかということの証拠でもある。
 「指導力不足の教員排除を可能とする」と書かれているが、文部科学省は、各大学への通知の中で、「指導力不足教員の排除を目的とするものではない」と述べているのであり、実際に、これを実施している大学でも、そのような意識をもっているところは、まずないと言えるだろう。この制度を指導力不足教員の排除にどんどん利用すべきだと主張して憚らない、某教授がいる大学だって、免許更新講習を実施しているかどうかはわからないが、もし実施しているとしたら、おそらく大学としては、そういう方針はとらないだろう。更新講習は、今年度から正式実施されているのであるが、うわさによれば、行われる試験は、ほとんどの大学が形式的に実施しているのみで、落とすことはほとんどないのが実態である。なぜそうなるのか。考えてみれば、すぐにわかることである。
 もし、この免許更新講習が不合格になれば、免許の失効という可能性がある。それはすなわち失職につながるわけである。不合格にして、免許失効、はいそうですかと、教師が職を去る、そんな風にことが流れていくはずがないことは誰でもわかるだろう。
 確かに本人が力不足であったとしても、きっかけが試験の不合格であれば、誰だって、試験が妥当であったかを問題にしたい気持ちになるだろうし、実際に失職の危険があれば、裁判を起こすこともありうる。もちろん、現在の仕組みでは、2年間の猶予があり、いろいろな大学で講習が行われているから、受講機会は数回はあるので、ただちに失職ということはないだろうが、不合格にするときには、そうしたトラブルに巻き込まれることを当然考慮しなければならないのである。
 もちろん、教員免許は通常、大学での講義を受け、取得するのだから、養成した大学の責任はあるだろう。だから、指導力不足の教員に対して、免許を取得させた大学が、再教育を行うというやり方は、アメリカの一部の大学で実施されており、それは合理性をもつかも知れない。また、大学としての養成に改善の余地があることは事実である。しかし、この講習は、どの大学で受講してもよいのだから、まったくその教師に無関係な大学が、あえてトラブルの危険を承知で、不合格などを出す可能性は極めて低いのである。また、そういうトラブルを引き受けねばならない社会的責任が大学にあるとは思えない。実際、文部科学省は、そうしたトラブルが起きても、文部科学省としては関知しないとしているのだから、大学として厳密な成績評価などしないことは、ごく自然なことなのだ。(私の大学では、無条件に合格させるような試験を実施してはいないし、どのような答案でも合格させるという立場はとっていない。)
 そして、前に産経新聞も報じていたように、この制度は周知徹底していないので、受講すべき教員があまり受講しておらず、開講した大学のほとんどは赤字になっている。
 
 他方、教員の側はどうだろうか。この制度を歓迎している教員がいたとしても、それは管理職の一部と、よほどこの制度に原理的支持の考えをもっている少数の教員だけだろう。 もともと、教員の免許は取得したときには、期限付きではなく、法令で勝手に期限が事後的に決められたわけであり、しかも、かなり忙しい仕事があるのに、自腹で講習を受けなければならない。
 免許は更新が必要だといっても、他のより高度な専門性をもった医師免許や法律関連の免許、会計士など、期限付きのものは、ほとんどないはずだ。何故教師だけがという気持ちは当然あるわけだ。不適格教員はいるだろうが、不適格医師だって、不適格弁護士だっているのではないか。何故彼らは更新がいらないのか。これも当然の疑問だろう。
 また管理職や優秀教員と認定されると講習を受けなくていいということも、多くの教師は疑問に思っている。指導力不足校長・教頭など、指導力不足教員よりもずっと割合が多いという意見もある。
 それになんといっても、教員の力量を高めるために行うことは、30時間の講習を受けることではなく、日常的な校内での協力的な指導・助言が行われることなのだ。

 等々、この制度はどのような側面から見ても、おかしな制度であり、即刻廃止が望ましい。私はこの制度の運営委員を大学でやっており、やるからには、いい講習を組織し、受講する先生に満足してほしいと思って努力しているが、制度自体については、いい制度だと思ったことはないし、また改善の余地がある制度でもないと思う。所詮、安部内閣の政治目的で導入された、反教育的制度である。

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2009/09/13 13:32

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
では、
その代替案は?
ジン
2009/09/13 11:13
ジンさま。ずいぶん早いコメント、びっくりしました。数分前のアップなのに。
代替案ということですが、全く不要で意味のない制度を、無理に導入しただけなので、代替措置など不要だと思います。指導力不足教員への対応というのは、既に各県の教育委員会にありますし、それによって毎年かなりの教員が職を離れていると思います。基本的に雇用に関わることは、雇用主の責任で行うことであって、大学のような他の機関に押しつけるべきではないでしょう。教員の力量を高めるために必要なことは、文末に書いてある通りです。そういう日常的な取り組み以外にはありません。また、教師教育に関する大学のやり方については、多くの改善点があるかと思いますが、それはまた免許更新制度とは別でしょう。いつか、そのことをテーマに書かせて頂きます。
wakei
2009/09/13 11:27
不躾な質問に丁寧にお答えいただきまして、
ありがとうございます。
いつも拝見させていただいております。

子を持つ(小学生)一父親として、
いつも、疑問に思うんですが、
教師の指導力って何でしょうか?

話がずれてきているかもしれませんので、
お答えいただかなくてもいいんですが、
ここの意味が分からないのです。

私の思い過ごしかもしれませんが、
教えることと、育てること。
片方に傾倒している傾向があるように思うんですが、、、


率直なご意見をお聞かせください。
ジン
2009/09/14 12:55

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