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zoom RSS 埼玉女子短期大学事件について

<<   作成日時 : 2009/12/31 20:16   >>

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 先日「全国国公私立大学の事件情報」というサイトを見ていたら、埼玉女子短期大学での不当解雇訴訟というのがあることを知った。前から出ていたと思うが、あまりこのサイトを頻繁に見ているわけではないので、今回初めて気づいた。今時こういう大学があるのか、こういう処分があるのかと暗澹たる気持ちになるが、実は意外にこうした大学が、特に私立大学では多いのかも知れない。

 8割程度解雇された教員に同情的だが、全面的というわけにはいかないので、少し書いてみようと思った。支援する会のホームページがあるので、興味のある人は見てほしい。http://www.kinugawasupport.com/

 解雇理由は、一応様々なことをあげているが、判決文を読む限り、原告が学長の論文を著作権法に違反するということで、文部科学省に内部告発をしたということが、ほぼ唯一の理由となっていると思われた。学長は元高校の先生だったようで、教師だったこともあって、学習指導要領とか、生活指導などについての論文を紀要に書いている。その紀要が、SUCRA(埼玉県地域共同リポジトリ)という学術データベースで読むことができるので、読んでみた。原告の論文もいくつか読んでみた。

 研究者としての力量は、確かに原告の方が高いようで、学長の書く論文はお世辞にもレベルが高いとは言い難い。この論文を書いている時期に既に学長であるなら、忙しい中、よく書いていると、その努力を認めてあげたい気持ちにもなるが。普通学長とか学部長などの要職につくと、研究放棄状態になるから、レベルはどうあれ、論文を書いていることは評価されるのではないかと思う。

 学習指導要領の変遷を扱った論文に関して、原告は著作権法違反であると認定して、文部科学省に告発し、文部科学省は筋が違うと考えて、大学当局に戻してきたのが、問題の発端だったようだ。原告からすれば、著作権法違反は、刑事罰となる犯罪であるということで、告発したのであり、それは正当な行為である。かつ、内部告発者を処分することは法で禁じられているという解釈で、自分を処分することは違法であるということだろう。もちろん、処分理由には、学生にお菓子を配ったとか、評価をしなかったとか、いろいろと細々としたことがあったようだが、それらは、読む限り付け足しであり、本当の処分理由ではないように思われる。

 私の理解の通り、学長が自分の論文を告発されて頭に来たのが、解雇の理由であるとすれば、いくらなんでも、あまりに度量が狭く、学問的に対応すれば済むことではなかろうか。もっとも、このことは原告についても言えることで、文部科学省への告発などという手段ではなく、学問的批判をもってするべきだろうと思う。更に、原告には、誤解があるのでないかと思うことがある。

 学長の論文は学習指導要領の引用が大部分を占めており、ページ等を示すこともなく、しかも、引用と本文の合理的比率からみて、引用が多過ぎるということで、著作権法違反という解釈をとっているのだが、そもそも文部科学省によれば、学習指導要領は、法令の一種なのだから、著作権をもつ著作物ではないはずである。だから、いくら引用しても、著作権法違反にはならない。もちろん、学習指導要領の引用で埋まった論文など、少しも論文としての魅力はないし、存在価値がないものだろうけど、だからといって、著作権法違反というのは、適切な批判とはいえないだろう。著作権法違反は犯罪であるという理由で、告発したのだが、やはり、その告発は間違っていたと考えざるをえない。

 現在は高裁判決まで出ているようで、いずれも原告が敗訴している。つまり解雇有効という判断だ。上告したようだが、いまのままでは勝訴の可能性は疑問だ。支援する会も、地裁で敗訴してからできたようだし、また、原告の主張そのものが、ホームページ用の文章として書かれていないのが、非常に不満だった。一応地裁判決と控訴理由書が掲載されているので、法的部分については分かるのだが、裁判のために書く法律文書ではなく、どういうことが問題であり、何故処分が不当であるのか、弁護士ではなく、当人が、法律を離れたところできちんと提示しないと説得力がないように思う。

 といっても、解雇は不当だと思うので、ぜひ最高裁では勝訴してほしいと思う。

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