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zoom RSS 連休の地域分散は大学教育にはマイナス

<<   作成日時 : 2010/03/09 22:51   >>

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 連休を地域分散させるという観光立国推進本部の案が出て、いろいろな意見が出ているようだが、概して否定的な見解が多いようだ。この案が報道されて、直ぐに反対の意見を書こうかと思ったが、旅行に出ていたので時期を失してしまった。
 今日の読売新聞の社説に、慎重論が出され、その中で「「敬老の日」など一部の祝日を月曜日とするハッピーマンデーの制度は、経済や教育にどんな影響を及ぼしているのか。そうした検証作業も必要だろう。」という意見が書かれていたので、この点を改めて書くことにした。
 誰でも知っているように、学校は時間割で授業が行われているが、それは曜日で決まっている。小学校から高校までは、普通の科目は週に複数の時間があるから、月曜日が休日が多くなっても、多少困る程度かも知れないが、大学の多くは、週に複数回授業がある科目というのは、ほとんどないので、曜日によって行う時間数がかなり違うことになる。今の大学は2期制が多いが、半期でも3時間程度違ってくるのが珍しくない。つまり、ある曜日の科目は14回あるのに、ある曜日は11回しかとれないというように。そして、少なくなる曜日はほとんどが月曜日だ。ハッピーマンデー制度によるものである。
 実は昔はこれでも特に問題とされることはなかった。しかし、大学教育に対する社会の目が厳しくなったためか、規定の回数の授業をしなければ許さないという、行政からの統制が強まっている。確かに、大学設置基準によって、半期で15回授業が行われることが原則的に規定されている。1単位とは45時間の学習が行われることで、通常1時間15回の授業とそれぞれの回のための2時間ずつの自習とが行われて1単位が認定されるということになっている。
 法的規定をきちんと実行しなければならないとすれば、この規定通りに授業をしなければならないし、また、2単位授業ならば、学生がきちんと毎回4時間の予習復習をしているか確認するか、あるいはそれ相応の宿題を出し、それをチェックすることが必要だろう。しかし、大学生ともなれば生活のためにアルバイトをするのが普通であり、資格のためのコースをとったりすれば、計算上そんな勉学時間の確保は不可能である。1日3コマの授業をとれば、それで6時間使い、12時間の自習をしなければならないことになる。私の勤めている大学の学生は平均4コマとっているのは珍しくないから、義務的勉学時間で24時間を超えてしまう。つまり、設置基準の規定を実行することは土台無理なのである。
 教育行政はしかし、これを少しでも実行する方向で指導をしているが、更に、授業回数の徹底をするように、かなり強く求めてきている。特に厚生労働省が福祉関連の資格を出す大学は、すべての授業を正確に15回やるように求めており、そうでないと資格認定をさせないというような対応をとっている。
 もちろん、大学としてきちんと教育活動をやる意思があることはもちろんであり、そのような行政指導は間違っているとは思わないが、しかし、ハッピーマンデー制度のために、歪みが過大になるのである。以前はほとんどの大学が、実際には15回をやっていなかったが、それを15回やることにして、更に3回休日になるとどうなるか。現実に起こっていることだが、後期などは、授業が終わらない期間内に定期試験が始まったりするのである。それから、入学式などが始まるずっと前に新入生オリエンテーションが始まり、入学式があると、直ぐに授業が始まる。夏は試験は8月にずれ込み、レポート提出は8月中旬にまでかかることがある。夏は大学の地域貢献で、オープンユニバーシティなどを行うから、それにかなり時間とエネルギーをとられ、それが終わると間もなく後期が始まってしまう。
 私が大学に就職したころは、春は2カ月、夏は3カ月程度の休みがあった。楽をしていたと思われては困る。大学の教育は、教師の研究を土台としており、教師が研究活動を十分に行うことができなければ、充実した教育活動はできない。だからこのようなまとまった期間、授業から解放されることは、教育活動をしっかり行うために不可欠なのである。ところが、今はそれぞれ1カ月程度しかなく、現在、私は懸命に春からの授業のための準備をしているが、まったく時間が不足している。
 大学に限らないと思うが、学期が始まったら休みなく継続し、休み期間は、教師も学生もまとまった研究ができるような体制が望ましい。しかし、今は、学期が始まっても、断続的に休みが入り、長い時期続く。非常に散漫になってしまうし、まとまった研究時間がとれなくなっている。

 外国と比べて、おそらく日本の祝日は非常に多いのではないだろうか。しかし、国民が仕事を休んでリラックスできる日数は少ないと思われている。それは法的に規定されている有給休暇が少ないだけではなく、法的に可能なはずの有給休暇すらとれない状況が広範にあるからだ。有給休暇を自由に、かつきちんととれる状況にすることに、行政は力を注ぐべきだろう。そうすれば自然に休暇の日程などずれてくるはずだ。

 そもそも、休日を国家が決めて、観光する時期を管理するなど、国民の多くが希望するのだろうか。教育機関に勤めている以上、仕事の期日が決められることは仕方ないが、それも大学として決めるのであって、休日や旅行日を国家などに決められるのはごめんである。
 実際に、国家がたくさんの休日を、しかも一定の曜日に集中させるように作ったために、大学関係者のほとんどは困っていると思う。読売新聞の「ハッピーマンデー制度の検証」という点に返ると、大学に関していえば、影響はまったくネガティブであると私は思う。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
一部の工場なんかでは、ラインを止めるタイミングが狂うことを避けるために毎週固定の土日以外は休みとしないのですが、同様に、大学(教育機関)も週単位で動いているスケジュールが乱されることを防ぐため休講日は土日(あるいは日曜のみ)に限定してそれ以外の休日・祝日は無視してしまえばよさそうな気がするのですがそういうわけにはいかないのでしょうか。
祝日開講は難しいのでしょうか?
2010/03/13 02:29
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、月曜日を1度か2度休日授業を実施している大学はありますし、私の大学でも今年度一度だけやったような気がします。ですから不可能ではないと思いますが、原則祝日なしということは、コンセンサスという点で、かなり難しいと思いますね。私はそれで、夏と春にじっくり研究できる方がいいですが、学生や職員にはそれぞれの生活がありますから。また、法律によって休日となっている日に働かせると、振替休日とか、割り増し賃金とか、いろいろな問題が出てくるようです。必要コマを満たすことが求められているだけの教員はそういうことはほとんど問題にしませんが、職員は労働日、労働時間で動いていますので、問題になりますね。
wakei
2010/03/13 08:20
法的には雇用されている人(教職員)あたり週1日以上の休みの日(これはいわゆる休日や祝日と連動させる必要はない)と1日8時間かつ週40時間以内の労働時間という条件をクリアすれば問題はないのですよね。学生さんは労働者じゃないですし勉強は大事なので数年間の在学期間中に休日が減るくらい文句は言わないはず、と(長期休暇ありますし)。

それで、開講日が増える(つまり組織全体での労働時間が増える)分は、教職員数を増やして個々の業務時間を調整することによりカバーすればよいわけですが、まあなかなか難しいのでしょうね。時間だけが能ではないにしろ、学生さんへ勉強させる仕組みを強化すると大学や教職員への評価が増すという世の中のはなってないみたいですからねえ。

以上、通りすがりのコメントへご多忙なところお返事していただいてどうもありがとうございました >wakei先生
祝日開講は難しいのでしょうか?
2010/03/15 05:43
小生の勤務先では、執行部から祝日授業の提案がありました。しかし、子育て中の教職員から「祝日出勤中に誰が子供の面倒を見てくれるのか?」という反対意見が出され、執行部は早々と提案を引っ込めてしまいました。
提案するからには、執行部は「子供は大学の負担で面倒を見る」くらいの気概を見せて欲しかったようにも思いますが…。
まあ、多くの人が休むからこその休日・祝日なのでしょう。
おかげで、前期は8月のお盆直前まで、後期は2月中旬までの学年暦です。
通りすがり
2010/04/21 16:40

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