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zoom RSS 教師の政治活動は既に「罰則」があり、更に刑事罰を課すことは民主主義に反する

<<   作成日時 : 2010/03/13 22:40   >>

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 北海道教職員組合の政治献金問題に関連して、教師の政治活動は禁止されているにもかかわらず、罰則規定がないので、罰則規定を設けるべきだという議論が、このところ自民党はもちろんのこと、多くのメディアでなされている。しかし、こうした議論の多くに見られるように、かなり多くのデマを含んだものであると言わざるをえない。しかも、その議論が正当であるとは言い難いものを感じるのである。

 教育公務員はほとんどが地方公務員であるが、政治活動の禁止に関しては、国家公務員の規定に従うと、教育公務員特例法に規定されている。

教育公務員特例法
(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)
第十八条  公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第三十六条 の規定にかかわらず、国家公務員の例による。

 そしてその国家公務員法の規定とは以下のようなものである。

国家公務員法
(政治的行為の制限)
第百二条  職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
○2  職員は、公選による公職の候補者となることができない。
○3  職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

 地方公務員法は、その公務員が勤務する地方公共団体の地域での政治活動を禁じているが、国家公務員法は、地域限定がないのが異なっている。つまり、教師は全国的に法で禁止されている政治活動をしてはいけないことになっているわけだ。(全面的に禁止されているわけではない。

 まず、本当に罰則がないのかということでいえば、もちろん罰則はある。懲戒処分の対象になるからである。そもそも「公務員であるが故に禁止されている行為」での罰則とは、公務員であることを解雇されることが、重い罰則であるといえる。もちろん、一般人としても禁止されているような犯罪なら、刑事罰が当たり前であるが、一般人としては許されている行為について、刑事罰をもっと処罰されるような罰則規定など、ないほうが当たり前ではないか。
 もちろん、ある政治行為そのものが、一般的に刑事罰をもって禁止されている行為であるならば、当然、公務員であろうとも、刑事罰が必要であろう。しかし、この場合はそうではない。

 つまり、自民党や産経新聞が熱心に説いている「刑事罰」とは、以下のようなものだ。

 「自民党とみんなの党は10日、公立学校教職員が政治活動を行った場合に「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科す教育公務員特例法改正案を議員立法として衆院に共同提出した。北海道教職員組合による違法献金事件を受け、現行法に罰則規定を設けることで、日教組を支持基盤とする民主党を揺さぶる狙いがある。自民党の石破茂政調会長は記者会見で「罰則がなければやりたい放題になる」と指摘した。(毎日新聞3月11日)」

 冷静に考えれば、一般人に許されている行為を行って刑事罰などという議論は極めて乱暴なものであることがわかるはずである。もちろん、公務員としては禁止されているのだから、公務員であることを否定されることは仕方ないだろうし、また、それが罰則であるといえるだろう。そうした規定は、現行法でも存在しているのである。

 しかし、最大の問題は、そもそも、教職員に政治活動をほぼ全面的に禁止しているような規定そのものである。政治活動というのは、主権者国民としての基本であり、いかなる意味でも、通常の政治活動を禁止することは、よほどの理由がない限り民主主義国家としておかしい。

 もちろん、子どもを相手にする教師であるから、教室で政治活動をするというのは、許されないと思うし、教師として失格であろう。そうした教師は教壇を去って欲しいと私は思う。
 しかし、教育活動と区別された市民としての政治活動まで制限することは、健全な民主主義の発展のためにはマイナスであろう。また、教室での政治的影響力を行使することは制限されてしかるべきであるとしても、政治的主体として生徒を育てることは、教師としての重要な役割である。政治活動を制限された教師が、どうして政治的主体としての子どもの資質を育てることができるのだろうか。教育基本法には、政治的教養の育成を重視する項目がある。しかし、行政上これは一貫して否定的に扱われてきたのである。

 若者がもっと政治に関心をもち、健全な政治活動を行うようになることが、社会にとって有用である。そのためには、教師自身が十分に民主主義的な政治主体として育っていることが必要なのである。
 現行法における政治活動制限は既に強過ぎる。まして、罰則規定がないなどというのは、デマの類だろう。

 そして、一般人には許されている行為を、禁止されているからといって、公務員に対して刑事罰を課すというのは、重大な問題である。

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教育公務員特例法
第十八条  2  前項の規定は、政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員法第百十条第一項 の例による趣旨を含むものと解してはならない。
こねほ
2014/09/30 12:09

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