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zoom RSS 中内敏夫『学力の社会科学』(大月書店)を読む

<<   作成日時 : 2010/03/14 22:22   >>

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 遅ればせながら、中内敏夫『学力の社会科学』(大月書店)を読んだ。かなり若いころに書いた論文3本に、それぞれ当時のことを回想した文章が付記されているという、かなり変わった本だ。回想が最近書かれたものか、当時書かれたものか、どうも判然としないが、(当時書かれたように、付記されている文章もあるが。)この回想部分が非常に興味深かった。

 京大の学生時代のことを書いた第一の文章は、あまりに感傷的で白けてしまう感じがしたが、大学院博士課程あたりから、公立中学の教師をし、その間さまざまな民間教育研究団体に属しながら、研究を進めていた第二、アリエスに興味をもち、やっと50歳になってフランス留学の機会を得、アリエスについて研究していたころの第三は、教育学者たちの裏の側面を表しているという点でも、共感するところが多かった。

 表面では民主的なことを言っている研究者たちが、ある面では極めて反民主的であったり、権力的であったり、また、金銭的な目的で仕事をしているというような面が暴かれている。中内氏と個人的に接したことがないので、氏がそういう側面から自由であるかどうかは、断言はできないが、氏の研究的着眼点やその成果を見る限り、探求したいことを、あるいは探求しなければならないことを純粋に探求してきたと思う。そうでなければ、東大の大学院の博士課程を出て、中学の先生になるということもないだろう。しかし、そういう時期に、一方で中学教育の改善を試みながら、(それも現場で多くの抵抗にあったことが記されている。)他方で画期的な研究であった生活綴り方を扱った博士論文を準備していたということだ。

 私自身、教師になる学生に対しては、生活綴り方の方法、精神をできるだけ学ぶように指導しているが、なかなか難しい面がある。できるだけ公平に伝えるべく、生活綴り方教育の困難さも紹介すると、「現代では難しい」としたり顔で述べる学生がたくさん出てくる。中内氏の若いころの論文である「学力社会科学」的な分析が必要なのだろう。

 アリエスに関しては、有名になってから、翻訳で読んだので、中内氏が無名のアリエスに関心をもち、出版社などに聞いたり、働きかけたりした事実は、この本を読むまで知らなかった。50歳になってアリエスに弟子入りすべく留学したというのは、やはり、根性が座っていると思わざるをえない。身を引き締めざるをえない気持ちにさせる本である。

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