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<<   作成日時 : 2010/09/10 22:31   >>

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 もう1月ほど経ってしまったが、我が家でメディアに関して、いくつかの重要な変化があった。ひとつは、アナログテレビを地デジに変えたこと、そして思い切って新聞を止めたことだ。実にたくさんのことを考えたし、、研究者が新聞やめていいのか、ってこともあるが、今のところ別に不便は感じていない。地デジのこともいろいろとあるが、今回は新聞について書いてみたい。

 新聞止めたことは、ひとつの紙の新聞をとることに、あまり意味を感じなくなったことだ。新聞といっても、ほとんどインターネット上で読んでいたのが実態だし、特に、外国の新聞はインターネット上でしか読めないので、インターネット上で読めれば、わざわざ紙の新聞はとる必要がないと思い、これは試験的だが、止めてみた。いざとなれば、大学のデータベースでほとんどすべて読めるわけだから。

 止めてわかったことではないのだが、改めて感じたことは、日本の新聞がなぜかくも世界に遅れてしまったのかということだ。周知のように、新聞はつい30年前までは、活字で印刷していた。それが今活字で印刷している新聞など、世界中に存在しないだろう。しかし、このコンピューターで新聞を作るということを、世界で最初にやったのが日本の朝日と日経だということを、どれだけの人が知っているだろう。杉浦隆男『メディアの興亡』(文芸春秋社)という本があるので、興味のある人はぜひ読んで欲しい。これは非常に面白い本で、当初朝日新聞と日経新聞が、個別にIBMに新聞作成のプログラムを発注していたのだが、あまりに困難であるので、両者統一の注文となり、かつ、アポロ計画のコンピューターを動かしていた部隊をここに投入するという形で、相当な年月をかけて、作成されたプログラムなのだという。しかし、当初IBMは直ぐにこれが世界中で採用されると思ったら、採用は日本程度で、欧米ではなかなか採用されず、活字で作る新聞が続いたのだそうだ。

 それは何故か。日本は日本的経営の特質で、ジョブローテーションシステムと、企業内教育のシステムがあったので、植字工をオペレーターに再訓練することで、スムーズに移行できたが、欧米は、職能別組合なので、植字工を解雇して、オペレーターを新たに採用するということが必要で、スムーズに移行ができなかったわけである。つまり、このときには、日本的経営システムの強さ、変化への対応力が非常にうまく機能した。

 しかし、今新聞はどうなっているか。

 私は外国の研究をしているために、外国の新聞を読む必要があり、pressdisplay.com というサイトを利用している。これは世界の600以上の新聞が登録され、私のような個人の安い料金のコースでは、その中から30選んで自由に読むことができるというものだ。そして、そのインターネット上の新聞は、完全に実際の新聞イメージで表示され、また、多くの新聞は、テキスト抜き出し(写真もつく)の形で保存できるし、また、朗読もしてくれる。つまり、世界のほとんどの主要新聞は、紙面と同じ構成のファイルをインターネットで毎日配信しているのである。ところが、このサイトでは、日本の大手新聞はひとつも入っていない。そもそも、日本の大手新聞社で、紙面と同じ構成のものをインターネットでも提供しているのは、産経新聞と日経新聞だけだろう。産経新聞は2100円と安いが、日経は100円安いだけにして、最近やっと実現したというので、話題になった。

 本当かどうかわからないが、日本の新聞の経費は、作成・印刷まではほとんど広告収入によって賄われ、新聞代金はほとんどが配達費用となるという。ほとんどではないにせよ、かなりの新聞代金が配達費用になることは間違いないだろう。インターネットで提供すれば、その配達費用がかからないのだから、コストは極めて大幅に削減できる。そして、紙バージョンだと、北海道版から始まって、東京版まで、じつにたくさんの入れ換えをすることになっているが、インターネット版だと、一斉に配布できるから、ヨーロッパのように、一日一回で済む。そうすると、頻繁に記事を書き換えたり、入れ換えたりする必要がないので、じっくりと取材したり、調べて記事を書けるわけだ。

 こんないいことはないのに、日本の新聞社は、インターネット配信ができないままずっと推移している。これは、日本の新聞がディーラーのような販売店と結びついて展開してきたからだ。

 非常に興味深いのは、こうしたディーラーとのしがらみがない、赤旗や公明新聞なども、インターネット配信をしていないのだ。特に赤旗は、以前は党員の無償労働で配達していたはずである。その後配達料を支払う方式になっているということを聞いたことがあるが、少なくとも、新聞の配達が不可欠の党活動というわけではなかろう。インターネット配信に多くを切り換えて、もっと本来の党活動ができるようにしたらいいと思うのだが、実は、この配達で生活を支えているような仕組みができているのだろうか。もし、そうだとしたら、そして、それを変えることができないのだとしたら、とても近代政党とはいえないだろう。

 ちなみに、先の pressdisplay.com は個人の購読料が月1000円で、30紙まで可能だから、1紙33円ということになる。組織での講読はもっと高いから、単純な計算はできないが、これだけ安くても、インターネット配信ならそれなりの利益があるのだろう。もちろん、基本的には紙の講読と広告で経営は成り立っているのだろうが、広告はもちろん、同じだから、紙代や印刷費用もなくなり、配達費がなくなるのだから、新聞社としては当然そうしたいはずである。

 かつて、コンピューターへの切り換えが日本的経営の仕組みによって、世界に先駆けて可能になったにもかかわらず、インターネット配信は、日本的経営の仕組みによって阻害されている、というのは、なんとも皮肉なことだ。できるだけはやく、極めて安価なインターネット配信を実現してほしいものだ。そうしたら、新聞止めるどころか、すべて講読するかも知れない。

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