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zoom RSS 放射線学習に関するクローズアップ現代の番組は疑問

<<   作成日時 : 2011/10/11 23:53   >>

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 今日(10月11日)、NHKの「クローズアップ現代」で放射能教育について扱っていた。この番組がまじめで、社会問題を誠実に扱っていることが多いことは承知しているが、今日の番組はいささか疑問をもたざるをえなかった。
 放射能・放射線について、科学的な知識をもつことが大切であるという主張は、当然納得できる。が、この放射能・放射線の学習については、どうもすっきりしない面がある。まず、文部科学省が放射線の学習をするように規定しているという前提で、この番組は作られている。
 中学理科の学習指導要領の記述は以下の通りである。

(イ) エネルギー資源
 人間は,水力,火力,原子力などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること。

 これが解説になると、「追加した主な内容」として「放射線」が入り、内容構成図の中に、「エネルギー資源(放射線を含む)」となっている。つまり、学習指導要領自体には、全く出てこない「放射線」という言葉が、解説によると内容として、追加されたことになっている。高木文部科学大臣の記者会見の記事(文部科学省のホームページに掲載されている。)の中で、記者が「学習指導要領の改訂が必要」というような言葉を発しているのもそういう事情だろう。

 つまり、学習指導要領の内容に含まれていない事項が、解説では「追加された内容」となっていて、かつ、そのための学習資料を文部科学省が作成して、配布しているのである。しかも、その内容は、素人ながら、疑問に思われる面もある。
 文部科学省は、原子力発電は安全であるという、極めて明確な主張を込めた教材を作成して、全国の学校に配布していた。全国の教師は、この教材に基づいて、「原子力は安全なんだ」と生徒に教えてきたのである。私の教え子も、実に屈託なく「原子力発電は安全なんだよ、と教えてました」と語ってくれた。文部科学省のホームページにもこの3月までこの教材は掲載していたのである。それが福島原発の事故のあと、その教材を回収し、ホームページから削除した。その削除について、文部科学省のホームページを見る限り、明確な説明は見られない。もっと詳細に探せばあるのかも知れないが、簡単に見つけられるところにはない。記者会見発表の項目を見ても見当たらない。つまり、こっそりと隠してしまったわけだ。こういうときには、きちっと、何故原子力は安全だなどという主張に全面的に依拠した教材を作成してしまったのか、どこに文部科学省としての認識の誤りがあったのか、分析して公表すべきであろう。
 そして、半年も立たないうちに、放射線についての正しい認識を生徒に持たせようという教材を配布しているわけだ。その内容について、無前提に信頼することができないことは当然だろう。

 おそらく、今回のクローズアップ現代の番組は、この文部科学省の教材を前提として作成されている。放射能や放射線について、「全く知らない」と語る理科教師の談話が出てきて、他方で、以前から理科クラブで学習していたという奈良県の学校のクラブが出てくる。そして、彼らが福島まで出かけて、あちこちの測定を生徒たちが行っている様子をみせる。そして、除染のために土を入れ換えた学校の校庭で測定し、奈良の学校と同じであることを確認し、人間がきちんとやれば問題は解決できるのだ、という「感動」に至るように番組が進行する。もちろん、わざわざ福島まではるばる出かけて、自分たちで測定するクラブ活動はすばらしいと思うし、そのことを批判するつもりはない。しかし、除染した校庭の数値が低くなったからといって、問題が解決したかのように報道するのは、いくらなんでも問題をそらしているとしかいいようがない。今では、ほとんどの国民は、放射性物質を含む土壌が、別のところに移されたに過ぎないことを知っている。つまり、問題が解決したわけではない。校庭の問題が当面除去されたに過ぎない。今後、別に当面移している土壌をどう処理するか、という問題が、除染が進めば進むほど大きくなっていくわけだ。

 文部科学省の教材は、放射能をちゃんと知れば、安全だということがわかり、むしろ問題なのは、危険だなどと不安に思って、それがストレス障害を引き起こすことだ、というようなトーンで貫かれている。原子力発電は安全だという認識と、ほとんど変化がないといわざるをえないものだ。もちろん、きちんと認識して、根拠のない誇張された危険認識をもたないようにすべきだろう。しかし、まだまだ正確にわかっていないことがたくさんある以上、簡単に安全だという認識を、「権力」をもって学習させるべきではない。わかっている危険、わかっている安全の範囲、まだ不確実な部分を正確に腑分けした形での認識を与えるべきだろう。
 まして、問題が解決されたわけではなく、危険の所在が移っただけの現象を、まるで解決したかのように放映するのは、大きな問題だといわねばならない。

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