教育と社会を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 大阪府教育基本条例案検討6 府内全域の競争で定員割れ校を統廃合というのは、乱暴な話だ

<<   作成日時 : 2012/01/18 17:35   >>

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 処分の次は、「学校制度の運用」という項目が続くが、これが極めて簡潔明瞭な目的をもっている。

−−−
   第七章 学校制度の運用
(学校区制度の撤廃)
第四十三条 府立高等学校の通学区域は府内全域とする。
(学校の統廃合)
第四十四条 府立高等学校のうち、各年度に定められた入学定員(定時制に係る定員を除く。)を入学者数が下回った場合、府教育委員会は当該学校の校長に対し、学校運営の現状及び問題点を報告させるとともに、改善に向けて指導するものとする。
2 前項の指導にもかかわらず、当該学校において三年度連続で入学定員を入学者数が下回るとともに、今後も改善の見込みがないと判断する場合には、府教育委員会は当該学校を他の学校と統廃合しなければならない。
3 府教育委員会は、前項の規定を潜脱する目的で、入学定員を設定してはならない。
−−−

 学校制度の運用をこのような目的に限定して策定したルールを、私は知らない。府立高校の入学試験を、全域として競争させ、単に生徒間の競争を激化させるだけではなく、3年連続定員を下回ったときには、統廃合するというものだ。つまり、公立高校をこれからどんどん減らすといっているわけだ。しかも、入学定員の変更もできないようにしている。「潜脱」という法律用語(違法に抜け道のようなものでくぐり抜けることをいうらしい。)を持ち出すのが、本当に適当なのだろうかという疑問が沸く。
 私は大阪の高校事情がわからないので、実情にあった議論はできない。従って、一般論として考えてみよう。

 まず、大阪の高校が、少子化にもかかわらず、定員が以前のような状況のまま維持されていて、かなり定員割れの学校が存在しているというような状況であれば、全体の福祉予算の配分の問題として、ある程度統廃合するという政策に、私は賛成である。東京にはそうした状況がかつてあった。東京の子ども人口は、一番多い時期に比較して、半分くらいになった地域すらある。そこで同じ学校数を維持するとしたら、増えている高齢者の福祉への支出を増やすことができにくいわけだから、適切な状況とはいえない。
 しかし、現在は、少子化がかなり長く進行して、現在の15歳〜18歳人口は、比較的平坦になっている。従って、一般的には高校を政策的に統廃合する必要があるのか疑問である。
 府内単一学区であれば、かなり人気の格差が生じるから、競争させることを目的として、このような制度運用にするのだとしたら、落ち着いた教育実践はかなり困難になると危惧せざるをえない。
 また、統廃合した場合の教師の処遇については、全く触れていないようだ。このような条例案の全体的トーンからすれば、そこで失業させるということなのだろうか。
 それから「潜脱」という言葉だが、日本の学校が過大学級が多いことは、周知のことである。本当に学力を向上させようとしたら、学級規模を小さくすることは、まず考えられる施策だろう。とするならば、高校の定員と生徒数の関係で定員が多いのであれば、学級定員を削減して、教育条件の向上を図るよい機会である。だから、入学定員を抑えることは、予算上の問題が残るとしても、決して「潜脱」の事例ばかりとはいえないだろう。しかし、こうした文言からすれば、定員を削減したら、ただちに教育委員会の責任を問われかねない。橋下氏には、教育条件を向上させるために、入学定員や学級定員を削減するという意識はないのだろうか。

 ところで、このような競争主義をあおって、学力向上させようということに執着する人は、多くの場合勘違いをしている。それは、こうして競争状況をつくれば、みんなが一生懸命勉強するという錯覚である。しかし、これまでの歴史を見れば、それが事実ではないことはすぐにわかる。競争では勝者は少なく、敗者が多いものだ。そして、敗者の中には、敗者の常連ができる。そうした常連は、負ける状況に慣れてしまい、いくら飴や笞を持ち出しても、「笛ふけど踊らず」状態になることが多いのである。そして、そこには意欲の喪失が起きる。
 全体的な学力向上は、もっと異なる政策が必要なのである。少なくとも、学力が低いことが人気のない要因となっている場合、財政補助等による教師の加配などで、学力向上のための支援施策が必要であろう。日本の教師は、自分で職場となる学校を選択するわけではない。そこに配置されるのだ。特に新任教師がいわゆる底辺校に配置される傾向が強い地域などがある。従って、その学校が学力的に振るわず、従って定員がうまられないとしても、そこの教師だけの責任ではないだろう。それを人数だけで、統廃合するというのは、いかにも乱暴な話だ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
大阪府教育基本条例案検討6 府内全域の競争で定員割れ校を統廃合というのは、乱暴な話だ 教育と社会を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる