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zoom RSS 大津いじめ自殺事件、制度から考えてみる

<<   作成日時 : 2012/07/18 16:27   >>

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 大津の自殺事件は、混沌としてきており、これでは「逆いじめ」ではないかとも思えるようなことも、残念ながら出てきているように思われる。更に、この際、なんでも批判しておこうということか、たとえば、義家参議院議員などは、かの中学が道徳教育推進事業の指定校であり、その当時の文部科学大臣が民主党の川端大臣だったということで、民主党批判までやっている。確かに、かの中学は、平成21年度と22年度に道徳教育推進事業指定校をやっており、その成果を集約した論集もでているが、指定校になったのは、当然前年のはずで、そのときの政府は自民党である。こういうごまかしをするというところに、義家議員の本性が出ているとでもいえようか。

 しかし、この点は、自民党か民主党かというレベルではなく、まったく異なる側面であるが、道徳の指定校であった事実は、極めて重要な意味をもっているといえる。実は、道徳の研究指定校であった学校が、指定期間を過ぎると、しばらくして学校が荒れるというのは、稀ではないと言われている。よく知られた事例では、女子高生を監禁して死に至らしめ、コンクリート詰めして捨てた事件に関わった少年たちの多くが通っていた中学も、実はその前に道徳教育の研究指定校であったのだ。(皇子山中学は、道徳教育推進事業という、期間限定のものだったが、これ自体は、自民党政府のときに決まったものであり、これ以外に、以前から、様々な内容における研究指定校という制度がある。)
 それは決して偶然ではない点が看過すべきでないことなのだ。
 
 そもそも研究指定校制度というのは、学校の教師集団の総意で行われるものではないことがほとんどだ。多くが校長の「名誉欲」からおきる。校長というのは、権限はあっても、実はそんなに積極的にやることはないし、大過なく過ごすことを目指している校長が少なくないが、もっと意欲的になると、なんとか学校の教育水準をあげたいと、そのこと自体は正しい方向を目指すことになるが、そこで、何かの研究指定校となって、その成果を社会(というか教育委員会)に示したいと考えるようになる。本来は、地道な教育活動を指導し、教師たちの実践力を高めるような取り組みをすべきであるが、それは目に見える「形」にならない。研究指定校ならば、教育委員会と連絡をとりつつ、研究報告書を作成して、世に問うことができる。事実、かの中学も、そのときの報告書が、誇らしげに、学校のホームページに掲載されている。なんとも悲しいのが、その中に、「いじめのない学校」というスローガンが大きく書かれていることだが、そのことでわかるように、この研究指定校というのは、一種の外向けパフォーマンスであり、実態に乏しいことが少なくないのである。もちろん、実際に取り組んでいる教師を揶揄するつもりはない。しかし、一生懸命にやっている人たちですら、多くは、「いやいや」やらされているのが実態であり、そういう話は現場の教師からいくでも聴くことができる。
 いやいや道徳教育の研究をやらされ、形は整えて、教育委員会の指導主事たちに見せ、そして、期間が終了すれば、割れた風船のようになってしまうために、「荒れる」という事態になるのだろう。いやいややらされるのは、生徒も同じなのだ。

 今回の事件は、ひとつの側面として、道徳教育の研究指定校というような制度のもつ、無残な側面をしっかりと見据える必要があることを教えている。

 第二は、この学校が来年から、学校選択制度の実施を控えていた点である。私は、いじめの自殺をふせぐ「教育制度」の仕組みを考えるために、学校選択制度を考察の対象とし、オランダでの学校選択制度をこの間研究してきた。日本で行われている学校選択制度は、競争を刺激するための政策として出されているので、様々な弊害はあるが、正確な統計はないけれども、印象として、学校選択制度が実施されている東京では、いじめによく自殺が少なくなったと思われるのである。いじめによる自殺は、年に何件か報道されるが、そのほとんどは、地方である。現在でも、いじめられた場合は、指定された学区を変更して、転校することが認められているが、学区指定がある以上、それはかなりの勇気を必要とするに違いない。もし学校選択制度があり、学校を選ぶという意識がもっとあれば、学校がなにも対策をしてくれなければ、さっさと他の学校に転校すればいいのだ。今回の大津の事件では、加害者が転校するという、実に逆転した状況が生まれているのだが、もし、もっと簡単に転校できれば、自殺した生徒も救われた可能性がないとはいえないのだ。
 
 学校選択制度に反対する人たちは、学校選択を実施することによる弊害をいろいろとあげる。それはそれとして間違っていない。しかし、学校選択ができないことによる弊害も公平にみなければならない。学校選択による弊害は、希望の偏りなど、目に見える日常的なことであるのに対して、学校選択ができないことによる弊害は、やはりいじめ対策がおろそかになり、最悪自殺に至る例があるという点だろう。まれにしかおきないために、学校選択制度反対論者は無視するが、これほど深刻な事態であるのに、無視することが許されるだろうか。

 もちろん、数年前から学校選択制度が実施されていれば、今回の事件はなかったと言い切ることはできない。しかし、なかった可能性はある。

 今回の学校側や教育委員会側の対応がひどいことは事実だが、そうしたことをあげつらうだけでは、生産的な解決は望めない。もっと冷静に、どうしたら改善できるのか、どういう手段があるのか、いろいろと考えることが重要であろう。

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政府「いじめ対策の為に、道徳を教科化します!」
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内 容 ニックネーム/日時
大津のイジメ事件なのですが
いまだにこんな事をツイートして
https://twitter.com/aqn_/status/223980719309987840
あんな痛ましい事件を遊びのネタぐらいにしか
考えてないこういう子もいるぐらいだし
イジメに対する嫌悪感というのか
被害者に対する想いというのか
そういうのが足りないんですかね・・・
悲しい
2013/07/08 14:20

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