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zoom RSS 「いじめ緊急避難」を批判する産経新聞の編集委員は無責任の極み

<<   作成日時 : 2012/08/22 17:46   >>

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 産経新聞に掲載された編集委員安本寿久「あの大津市教委は学校自治もしなせた」と題する文章は、極めて問題な部分を含んでいるので指摘しておきたい。
 それは

−−−−
 一連の事件、報道の中で気になることも指摘しておきたい。教師経験者の評論家たちの論評が、いかに常識外れかということである。

 例えば、他のいじめ被害者を念頭に、つらい学校には行くな、逃げろという意見が相次いでいる。問題の本質はいじめがはびこり、児童・生徒の安全も図れない学校にある。その改善を学校に求めるのが筋であり、加害児童・生徒こそ矯正もしくは排除されなければならない。被害者に負担を押し付けることは本末転倒だ。

 学校の隠蔽体質の原因を、学区の自由化、学校間競争を高めた結果だと問題視する意見も多い。学校の評判を気にするあまり、校内の穏便を装うという指摘だが、これもまた本末転倒の意見で噴飯ものだ。競争の中で成績を上げるべく努力するのが社会一般の姿だし、その際に不都合を隠せば責任を追及されるのが企業社会の常識である。
−−−−

という部分である。この文章を読む限り、安本氏は、ものごとを多角的に考察したり、立場を変えて、その立場ごとにどのような問題に直面するかという、構造的な考察ができない人物であるということがよくわかる。こういう人が編集委員をやっているということに、改めて驚く。

 もちろん、「問題の本質は、・・改善を学校に求めるのが筋であり」というのは、全く正しい。しかし、学校が改善に努める意思がない、あるいは意思はあっても能力がない場合がいくらでもある。この大津の学校はまさしくそうだった。この文章の前で安本氏が批判している通りである。では、学校が問題を解決できないでいる間、被害者はどうしたらいいと、安本氏は主張するのだろうか。あくまでも改善を求め続けるのか。
 いじめ事件をいくつか調べれば、直ぐにわかることだが、いじめ自殺事件では、その自殺事例の前に、別の子どもがいじめられていた、しかし、学校が十分に改善をすることができなかったので、その子どもが転校し、その結果、別のターゲットになった子どもが、自殺するに至るということが、少なくないのである。つまり、逃げた者は助かったが、逃げなかった者が自殺に追い込まれだという例である。そうした事例をたくさん知っているが故に、評論家たちが、「常識外れ」ではなく、「まことに適切に」「逃げろ」と忠告しているのである。安本氏は、自分が歩いているときに、暴走族がやってきて、自分に襲いかかろうとしたら、逃げないのだろうか。「逃げる」などということは、問題の本質をそらすことで、警察に暴走族を取り締まらせることが筋だ、といって、警察がちゃんと取り締まってくれるまで、じっと耐えて暴行されるままにまかせるのだろうか。それとも、一人で立ち向かうのか。

 評論家たちが、学校が改善努力をしなくてもいいとか、そんなことは問題ではない、とにかく逃げればいいのだ、とか、そういう主張をしているならば、確かに本末転倒だと批判するのが適切だろうが、そんなことをいっている評論家は、私の知る限りいない。学校にどんなに改善を求めても、今回の大津のような学校が存在するのだから、そういうときには、自分が犠牲になるのではなく、その前に逃げてもいいのだ、という、極めて当たり前のことを呼びかけているに過ぎない。それを非難するということは、学校に改善を要求しても、なにもやってもらえず、ますますいじめが拡大して、自殺を考えざるをえない子どもがいて、安本氏に相談をもちかけたら、学校が改善するのが筋なんだから、あくまでもそれを求めろ、逃げたらだめだ、などと子どもを追い詰めるのだろうか。その結果自殺したら、安本氏はどういう責任をとるのだろうか。

 社会現象は、現象としてはひとつであっても、さまざまな立場の人間が、さまざまにかかわっているのが通常であって、関わり方によって、対応は当然違うのだ。学校の管理職、担任、教育委員会、加害生徒、被害生徒、加害生徒の家族、被害生徒の家族、そして、クラスメイトたち。これらは、みんな、「改善」という点では同じでも、そして、改善がなされれば、それは対応は同じ方向を向くのだろうが、改善が全くなされない状況になれば、それぞれが、自分たちの立場を守るために、どのような対応をとるかは、立場によって異なるのが当然なのである。被害をうけている生徒が、そこから「緊急避難」することは、ごくごく当たり前の選択肢のひとつなのである。そんなこともわからない産経新聞の編集者とは、なにものなのか。

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イジメで昇進が絶望的になるだけの人事評価、もとから雑用や採点が多すぎて人手不足の学校、武力犯罪に対して無力な学校の自治力。もはや学校は無法地帯の闇なので、警察や親が教室の授業を一緒に受けるぐらい必要な状態。50年前と今は学校が違いすぎる。仕事がある時代と仕事が無い時代。みんな貧しい時代と一部の貧困層がはじめから人生を呪っている時代。
地域に大人たちの職場がある時代、地域はただの宅地で大人は早朝から深夜まで遠い場所でサラリーマンの時代。かばいあえば助かる時代、かばうと巻き添えにターゲットになり陰湿な噂が流れまわる時代。
今は理想と現実は違うといわれる時代。何をしても潰される時代。
msmr_masachika
2012/08/22 17:57

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