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zoom RSS 大阪桜宮高校の自殺−−橋下市長の欺瞞的態度

<<   作成日時 : 2013/01/09 08:46   >>

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 大阪の私立桜宮高校の生徒が、部活の顧問から体罰をうけて自殺した事件が、メディアで大きく取り上げられている。その中で、学校設置者の責任者である橋下市長の発言が、いくつものメディアで紹介されている。毎日新聞の報道は以下の通りだ。

 ◇橋下市長「最悪の大失態」
 橋下徹大阪市長は8日、記者団に、「きちんとした対応が取られなかった。教育現場の最悪の大失態だ」と高校側の対応を批判した。「教育委員会に任せておけない。僕が責任をもって引っ張っていく」と話し、事実関係解明に積極的に関与する意向を表明した。
 橋下市長は、背景として「子どものSOSをきっちり受け止めるチャンネルが整備されていない」と指摘。一方で、「僕が(子どもに)手を上げることもある。親がそうだから学校現場でも(体罰は)ある。フォローをどうしないといけないのかだ」と話し、体罰が存在するとの前提をもとに、体罰が起きた後の生徒への対処方法が重要との認識を示した。また、いじめや体罰などが起きた際に、市長が教育委員会に指揮命令を出せるような条例案を検討するよう指示したことも明らかにした。【原田啓之】(毎日2013.1.9)

 しかし、これはいかにも欺瞞的な発言というべきだろう。
 最大の問題は、橋下氏の姿勢が、体罰容認、あるいは助長的なものだということだ。そもそも自分が子どもに体罰を振るうことがあると述べてもいる。だから、決して学校で体罰があってはならないと思っていない。それだけではない。橋下知事および市長が行なってきた教育現場への介入的行政は、管理主義の強化であり、それは必ず体罰の助長につながるのである。フォローが問題だなどという主張らしいが、フォローすれば体罰は容認されるなどということこそが、欺瞞の最たるものであって、フォローによって体罰の傷がいやされると考えるのは、体罰をする側の勝手な理屈に過ぎない。この点だけでも、橋下氏の政治家としての資質を疑問とするに十分であろう。

 更に、この事件を市長の権限強化に利用しようとしている点である。前にも書いたが、教育委員は市長が任命するのであり、また、教育長も重要な市の人事の一環として行なわれるのだ。たまたま今回は前の市長の任命であったといっても、任命責任そのものは市長になるのだから、今だって、十分に市長が指導をすることはできるし、また、助言することもできる。「こんな事件がおきるから市長の権限をもたせるべきだ」などというのは、そもそも十分に市長は既にもっていることを隠しているし、その責任逃れの発言であるいうべきである。

 この事件に関しては、単に体罰をした顧問の責任を追求して、終わりにするような議論は間違いである。
 この顧問のやり方を支持していた広範な教師や親、卒業生や市民の存在があったはずである。この教師が顧問になって、はっきりとバスケット部は強くなり、5回の機会のうち3回まで全国大会に出場したという。そして、この顧問の指導の下で部活をやりたいために、わざわざ引っ越してくる家族もあると報道されている。こういう中で、たとえ体罰があったとしても、そのことが強くなるための条件なのだ、という雰囲気が広がっていたと考えざるをえないのである。

 毎日新聞が卒業生の声を紹介しているが、その卒業生は体罰のことなど全く聞いたことがなかったと述べているという。もし彼が、バスケット部の状況を知った上でそのようにいっているとしたら、顧問の指導を体罰だとは思わず、当然のことだと思っていたのだろう。つまり、支持していたわけだ。もちろん、これは想像なので、断定することはできないが、そのような雰囲気は、決してこの高校だけのことではなく、スポーツが盛んな学校では、少なくないのである。「熱血指導」という言葉で、メディアだって礼賛していることが多い。

 指導論でいえば、体罰に頼る指導は、「下手な指導」であり、より合理的な指導方法があるということを、もっと普及していく必要があるだろう。メディアはその立場を鮮明にして、様々な情報提供を行なっていくべきである。

 しかし、最大の問題は、やはり、部活そのものが、学校単位で行なわれていることだろう。学校体育は、心身の健康増進と基礎体力の増強のために行なうべきであり、競争スポーツは、義務的な(高校は義務ではないが、事実上義務的である)学校ではなく、自発的に参加する地域のクラブに移管すべきなのである。もちろん、施設の関係で学校でやってもよい。しかし、学校所属は問わず、参加資格を広く公開した、学校とは全く別組織で行なうべきなのである。そして、そこには専門的な指導員が配置され、参加者から費用を徴集し、また生涯教育の一環として自治体が助成すればよ。い

 部活も任意参加だという主張もあるだろうが、学校単位での部活は、任意性は低いし(全員部活参加という建前の中学は少なくない。)指導者が素人になりやすいという危険性がある。また、今回のように学校での部活は、指導に不満があっても、そのことを訴えにくいし(教師が顧問だから)、またやめるのはかなり困難だ。代わりがないのだから。地域のクラブであれば、複数あるわけだから、指導に不満な場合、移ることが可能であるし、また、移られたら困るから、指導方法を改善する必要に迫られる。

 自殺者がでるとこのような注目を浴びて、いろいろな議論がなされるが、成功しているような事例ですら、実は大きな問題をもっている。私は度々甲子園大会の非教育性を指摘したが、問題は同じように存在するのだ。

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