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zoom RSS 京都、プール事故判決から考えること

<<   作成日時 : 2014/04/03 15:52   >>

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 産経新聞ウェブ版2014.4.3に、小学校プールで溺死した小1の家族が提訴した裁判の判決が確定したことが報じられている。学校側の責任を認め、2700万の支払いを命じた判決である。
 記事によると、事故は、平成24年7月30日の小学校のプールで起きたという。したがって、希望による夏休みの水泳だったのだろう。教諭3人で監視をしていたが、子は69人だった。低学年には、深いのでビート板を敷いていたが、そのしたにもぐり込んで窒息死したのではないかと推測されている。少女が最後に確認されてから、うつ伏せに浮かんでいるのを発見するまで、数分間あったと書かれている。その間何が起きたのか知りたいということも、提訴の理由であると両親が説明しているが、そこは正確にはわからないだろう。把握できないから、事故が起きたわけだ。
 学校主催の水泳指導教室で事故が起きたのだから、学校側の責任は明確であり、判決がその責任を認定したのは当然だろう。むしろ、賠償額がずいぶん少ない印象だ。
 さて、こうした事故が起きると、より厳格な注意体制が必要だという議論になっていく。給食でのアレルギーが原因となる死亡事故でもそうだった。それはそれとして、もちろんのことであるが、では、学校側が十分な注意をすれば、こうした事故は防げるのかというと、私は、そうは思わない。3人の教諭だって、いいかげんな気持ちでプールの監視をしていたわけではないだろう。小学生のプールが、危険であることは、教師なら誰だって身に沁みて知っているに違いない。
 冷静に考えてみれば、69人の子どもたちを3人の教師でみるとなると、一人あたり23名だ。プール指導の間中23人の子どもたちから目を離さず、何かあったら直ちにそれを認識して対応をとる、ということが、通常の人間に可能だろうか。更に問題なのは、小学校の教師は、体育の個々のスポーツの指導について熟知しているわけではなく、むしろ、体育など大嫌いな人も少なくない。ビート板を置いた状況で指導するときに、どのような事故が起きる可能性があるか、事故が起きていないかどうかを、どのような観点で監視していればいいのか、何かあったときに、どのような対応をとっさにとればいいのか、そうした知識・技術を、すべての教師が習熟することなど、実際に可能とは思われないのである。さらに、教師たちは、給食のアレルギーについても熟知していなければならない。宿泊行事にいったときの、さまざまな子どもたちの症例にも対応しなければならない。
 おそらく、大部分の教師たちは、誠実にそれをこなし、事故が起きないまま、なんとか指導を遂行できているだろうが、なんらかのトラブルが起きたとき、適切な対応がとれなかった教師が出てくることは、現在の制度や運用から考えれば、意外なことには思われない。
 私が学校に通っていたころは、学校教育に対する親(保護者)の要求は、それほど高いものではなかったし、また、教師たちの負担も現在ほどではなかった。私の学校には、そもそもプールなどなかったし、朝読書、小学校の部活、地域の体育大会、地域行事への参加、ほぼ全員が参加する宿泊行事、こういったこともなかったのである。それに、子どもの成績が悪いからといって、指導法についてクレームをつけたりする親もほとんどいなかった。さらに、行政的に、さまざまなことを報告するための文書作成なども、私の知る限り、教師たちが頻繁に行っていたとは思われない。
 こうした学校機能の増大に、何ら違わないシステムで対応して、うまくいくはずがないのではなかろうか。
 今回のスポーツでの事故について考えてみよう。
 ヨーロッパの小学校では、体育施設をもたず、市の施設を使うことが普通である。そして、体育の授業も、そこに勤めている専門の指導員が行う。教師は引率するだけだ。
 このことは、日本とは重要な点で違っている。異なるスポーツをするとき、それぞれの専門家が教える。また指導員は、その施設に勤務しているために、施設を熟知している。スポーツには危険が伴うが、スポーツそのものをよく知らず、設備の特質も把握していない教師と比較すれば、事故が起きる危険性が、日本でより高いことはあまりにも明らかだろう。
 学校教育に対する要求が高くなれば、それにふさわしい体制をとる必要がある。とくに、事故が起きやすい領域(体育、理科、給食、休み時間、部活、宿泊行事)などは、従来のやり方を反省もなしに継続するのではなく、体制として、人に過度の負担をかけないシステムに移行させる必要がある。
 学校も、無理なことを引き受けることをせず、また、保護者も無理ことを要求すべきではない。もし、それを学校に要請するならば、それ相応の負担も引き受けるべきだろう。

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