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zoom RSS STAP細胞論文の調査報告 

<<   作成日時 : 2014/04/05 22:53   >>

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 STAP細胞問題は、論文の不正が、理研の調査委員会によって認定され、不服申し立てがあれば、それを処理したあと、懲戒処分の検討に入り、60日後くらいに結論がでるのだそうだ。
 4月1日に会見をするというのも、「なんだかなあ」という感じだが、多くの人が、会見に対して、それぞれの不満を抱いたように思われる。理研に不満な者から、記者たちの質問が不満な者まで多様だが、私が気になったことのひとつに、「証拠保全」を強く主張するひとたちがいたことだ。不正を審査しているのだから、ただちに証拠保全して、証拠を隠蔽したり、消去したりしないように措置するのが当然だという論理である。企業なら、そうするのが当たり前という。週刊新潮に上昌広氏が「今回の調査は裏取りをほとんど行なっていない酷いもの。実験ノート自体を調査委員会が押された日が・・19日だった」と語っていることも同様である。
 しかし、理研は、企業ではないし、基本的には「研究施設」である。私は、この点に関しては、緩い理研のやり方がそれほどの疑問はもたないし、逆に、そうした管理体制的な批判に疑問を感じる。
 論文の不正は、あくまでも「外に現れた部分」で認定するものである。文系の論文でもそうだが、理系の論文ならなおさら、公表された論文に書かれた内容よりは、ずっと多くの無駄にした部分がある。実験の多くは失敗だろうし、私のような文献中心の研究でいえば、読んだけど使わない文献がたくさんある。しかし、そうしたもののなかに不正があるなどということは、ないはずである。不正は、あくまでも発表した論文に埋め込まれるからである。草稿段階で、剽窃をしても、発表論文できちんと引用の形式をとれば、不正ではない。
 今回、Nature 論文と、博士論文の画像が同じだということが、不正認定のひとつだった。これは、双方ともに公開データであって、研究室に未公開で保存されていたものから見つけられたわけではない。この検証過程で、証拠隠滅をして、損するのは小保方氏なのである。公開論文が証拠になって不正が認定されているのだから、「あれは画像の取り違えでした、ほんものがあります」といって、科学的に価値がある画像を提出することによってのみ、不正認定を回避できるのであるから。しかし、それはなされていないようだ。
 研究論文の審査等が「性善説」で成り立っていることが、批判的に言われることが多かったが、基本的に性善説でよいのだと思う。論文はひとつの材料に過ぎないのであって、結局、最終的に重要なことは「事実」であろう。STAP細胞が実際に存在して、それが再生医療に役立ったという事実でのみ、その価値が認められるのだから、性悪説にしたがって、論文をチェックすることを常態化することはかえって弊害が生じるように思われる。
 おそらく理研は、この認定とその後に続く処分で、訴訟になる可能性を考慮しているのだろう。だから、国民の誰がみても不正としかいいようがない、また明々白々な公開データのみによって説明できるものだけを不正と認定し、また、証明が難しい上級研究者たちの不正を認定せず、指導責任があるという言い方にしたのだろう。
 メディアは当事者を厳正に処分するべきであるという印象だが、これも訴訟対策を意識したものになると予想される。しかし、本当に重い処分は、実質的に既になされているのだと、私は考えている。小保方氏はもちろん、笹井氏も含めて、これまで築いてきた研究者としての社会的評価はずたずたになっている。今後笹井氏が、公的な場に登場したら、当然メディアの質問攻めにあうわけで、実際に、笹井氏はアメリカでの発表をキャンセルした。小保方氏が、実際に公的に会見をするとは、私には思われないが、笹井氏が今後研究者としてやっていくためには、それは不可欠だろう。それを乗り切ることができるのだろうか。
 懲戒処分がなされることは確実で、小保方氏が職を失うことは当然として、笹井氏がどうなるのかは、正直わからない。秘密主義的なやり方で今回のことを引き起こしたことで、断罪したい人が多いだろうし、逆に、その才能を惜しむが故に、軽い処分をして、今後の精進を期待する人もいるだろう。笹井氏がどのような人物かわからないから、私自身判断できないが、メディアではさまざまな憶測も流れている。最悪の場合を想定すると、私は、高橋和己の『悲の器』の正木典膳を思い出してしまうのである。

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