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zoom RSS 笹井氏の自殺をめぐって考えること

<<   作成日時 : 2014/08/08 21:14   >>

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 笹井氏の自殺について、どうもすっきりしない感じを抱いているのは、おそらく私だけではないだろう。本当に自殺なのかという疑問はさておき、stap細胞の研究の過程で、小保方氏のいいかげんさを見抜けなかった責任を感じていた、というようなレベルに集約されているようで、どうにも違和感がある。そもそも、stap細胞問題を、単にiPS細胞に対する焦りから出た、冒険的な研究だったというようなとらえ方が前提にあるようだが、他方では、セルシード社をめぐる詐欺事件であるという見方もあり、どちらの見方にたつかによって、笹井氏の自殺の理解も変わってくるはずである。既に、セルシードをめぐる疑惑については、一般的なメディアでも問題とされているのだから、こちらを視野にいれない笹井氏の自殺理解は、一面的なのではなかろうか。
 もちろん、私などに、真相はわかりようがないのだが、わからないなりに、疑問点を整理しておこう。
 まず、笹井氏は、本当にstap細胞があると思って、小保方研究を援助し、論文作成を担っていたのか、あるいは、本当はかなりいかさまな研究であることを承知の上で、つまり、なんらかの詐欺事件と関わりをもっている形で、ばれなければいいのだと思ってやっていたのか、ということがわからない。
 もし後者であるとしたら、かなりのワルだということになる。あまりにも早くばれてしまったので、2月早々から写真の入れ換えなどで、なんとかとりつくろうとしたけれども、結局難しそうなことがわかり、3月早々入院してしまったという推移で理解できる。もちろん、知らず知らずのうちに加担していたという可能性もあるだろう。
 詐欺事件の真相はさておき、前者であるとしたら、そもそも本当に笹井氏は、世界トップの研究者だったのか、という疑問を、だれもが感じるだろう。ネイチャー論文公表後、ほとんど10日もたたない間に、疑惑が次々と指摘され、2月の初旬には、理研の中で、誤りがかなり認識されていたという。そんな論文を自分で執筆しながら、図表の間違いなどに気づかないとしたら、かなり見る目のない研究者と考えざるをえなくなる。小保方氏が、プレゼン能力で様々なポストを獲得したように、笹井氏の業績が、なんらかの組織能力のようなものに、多くを因っていたなどとも考えたくなる。私は専門外だから、とうてい理解できないが、常識的には、これまでの世界的な業績といわれるものも、どの程度本当であるのか、という疑問すらわいてくるのである。
 笹井氏の死によって、今後の理研を中心とする研究が大きな損失だと、多くの者が指摘しているが、既に、この杜撰な研究を公表してしまったことと、その後の混乱を適切に乗り切ることができなかったという点で、実は既に笹井氏は終わっていたと考えるしかない。これまでのような辣腕を振るうことは、とうてい不可能だったろう。
 さて、では、笹井氏はなぜ自殺したのか。少なくとも、私は、これまでの報道で解釈されていることには、納得できないものを感じる。もちろん、これまで順風漫歩できた人生が、stap問題ですっかり狂ってしまい、精神的な疲れで鬱的になり、自殺したという解釈は、納得できないわけではない。しかし、これまで様々な大きな失敗で、その分野で生きる道が閉ざされながら、他の分野に進出して成功した人は、いくらでもいるし、笹井氏ほどの人ならば、そんな例はいくらでも知っていただろう。今回の失敗が、単に研究上のミスであれば、それを取り戻す人生などいくらでも可能であったと思われる。逆にいえば、そうした人生を模索することを、不可能に思わせる要素があったのではないか。それは、常識的にいえば、刑事責任を問われるという事態である。stap研究関連では、報道されている限り、不適切と思われるお金の使われ方があると思わざるをえない。また、セルシード詐欺事件なるものがたとえあったとしても、笹井氏がそれに積極的に関わっているとは、とうてい思われない。何故ならば、笹井氏は、極めて強力な集金能力があったとされ、その人脈とのつながりがあるとも思われないからである。しかし、知らない間に、加担する構造になっていたということはありうる。
 stap論文の誤りがなぜ生じたのか、徹底的に究明せよという声があり、それはそれで正しいが、しかし、それだけが究明しなければならない問題なのではない。stap細胞をめぐる社会的背景も究明しなければならないということである。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
愛知県の中学2年生です。
この記事をたいへん興味深く読ませていただきました。
私自身もニュースで笹井氏の自殺について見ていたので、こんな考えもあるのだ、と見ていて楽しかったです。
merry
2014/09/04 17:10
コメントありがとうございます。中学生からのコメントというのは、ブログを恥じて目ずいぶんになりますが、初めてのような気がします。国立大学が、いまは独立行政法人になっていますが、そのなかで、経常費予算が毎年削られ、研究費は独自にさまざまなところから獲得する部分が多くなっています。最も多いのは文部科学省が管轄する科学研究費でしょうが、こうした動向とともに、研究費の査定で、研究が選別される事態がとてもたくさん起こっています。行政に批判的な結論をだすと、次の研究費を認められないなどということは、いくらでもあるようです。311のあと、原発に関して、テレビの解説で大変な事態にはならない、などといっていた東大教授が、テレビ出演のあと、大学にかえって、研究室の窓があいているのをみて、かんかんにおこり、放射能に汚染されるじゃないかと、すぐに窓を閉めさせ、換気扇をとめさせたという話があります。いいかげんな研究者というより、自分の本心と表向きを顔を使い分けるだけではなく、それを肝心の研究面においてもせざるをえないような事態が、国民にはみえないところで、すごく進行しているのです。そういう側面もあることを承知のうえで、いろいろな研究成果をみる必要がありますね。
wakei
2014/09/04 23:35

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