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zoom RSS 福岡の中学柔道部の死亡事故は、「システム欠陥」によるものだ

<<   作成日時 : 2015/05/28 23:33   >>

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 柔道部の部活中の事故で死亡者が出たというニュースがインターネット上に多数でている。議論もある。毎日新聞の記事を転載しておく。
−−−2015.5.28
 福岡市教委は28日、博多区の市立中学校で柔道部の練習中、技をかけられた1年の女子生徒(13)が頭を打って意識不明となり、その後死亡したと発表した。女子生徒は4月に入部したばかりの初心者だった。市教委は近く専門家らで作る第三者委員会を設置し、原因究明と再発防止に取り組む。
 市教委によると、今月22日午後6時45分ごろ、女子生徒は校内の武道場で先輩の女子生徒と2人1組で練習中、大外刈りの技をかけられて転倒し、後頭部と首を打ち意識不明になった。すぐに救急搬送されたが、意識が戻らないまま27日午前に死亡した。脳内に出血があったという。
 練習時、いずれも有段者の顧問教諭とボランティア指導員2人の計3人が男女計14人の生徒を指導していた。毎日朝の練習で各生徒の体調を確認しているが、女子生徒から体調不良の訴えはなかったという。
 市教委は「指導方法に問題はなかった」とした上で「学校管理下で生徒の死亡事故を引き起こしてしまい大変申し訳ない」と謝罪した。【黒澤敬太郎】
−−−
 いろいろな疑問がおきるが、福岡市教育委員会は、近く事故調査委員会を設置して調べるのだそうだが、記事によれば、「指導方法に問題はなかった」と既に答えているようだ。これから調査するのに、何故「問題はなかった」といえるのか。もしそうなら、調査委員会の結論は既にでていて、その結論にあう事実だけを集めて、やはり問題はなかったということにするだけなのだろうか。教育委員会の体質は、いろいろな点で検討する必要があるが、こういう調査前の予防線的な弁護論をすると、それだけで不信感が増してしまうものだ。
 学校における柔道の事故は、朝日の記事だが、「名古屋大大学院の内田良准教授の調査では、2012年度までの30年間に、部活動を中心とする学校管理下の柔道で118人が死亡している。 」ということだ。現在、柔道が必修科目になっているので、当初から事故の危険性が心配されていたが、学校管理下での死亡が100名を超えているということは、やはり危険性の指摘に合理性があるということだ。
 柔道経験者の事故に理解を示す話が2チャンネル系にいくつかでている。だいたいは、受け身の練習はまず一人でやって、それができると技をかけられる受け身の練習をする。この場合、有段者の顧問教師と2名のボランティア指導員がいて、かつ、事前に確認をして技をかける「約束稽古」だったので、練習方法としては問題がないということのようだ。技をかけたのは上級生だったという。それも適切なのだそうだ。未熟な者が技をかけると、ふらついてしまって、かえって危険なことがあるという。
 私は柔道経験がないので、正確にはわからないが、この柔道経験者の話が、この限りで正しいとしても、やはり、問題がないと考えることはできない。
 当日の死亡した生徒の健康状態について、報道では二通りある。ひとつは、この毎日新聞の報道のように、本人から体調不良の訴えはなかったというものと、頭痛があったという逆の報道がある。ということは、やはり、正確に当日の体調を把握していたわけではないということだろう。
 それでも、受け身の練習の一環としての約束稽古ということが是認されるとして、では何故死亡事故が起きたのか。どこにも問題がないのに死亡事故が起きるだろうか。
 私は、学校の柔道部というシステムそのものに問題があるのだと考えている。これは前からそう思い、何度も書いている通りだ。
 中学校や高校の部活は、ひとつの種目に対してひとつの部活しかないというのが、通常である。小学校時代だれもやらないようなスポーツとか、誰でもやっていて、しかも力量の差があまり危険性に結びつかない競技であれば、特に問題は起きない。
 しかし、柔道は小学校からやっている者は少なくないはずである。つまり、中学一年の新入部員といっても、既に長年やっている経験者と、全くの初心者がいる。授業としての柔道であれば、おそらく、一年生であれば、全くの初心者を前提に指導するだろう。しかし、部活というのは、通常他校と競争関係にあるので、どうしても経験者を中心とした指導に寄っていくはずである。初心者のことは十分考慮しているといっても、部活の性質上、どうしても、経験者がいれば、進み方が速くなり、初心者ならば、一人だけの受け身をやる期間が長いが、経験者が多くいれば、技のなかの受け身に早く移行することがありうる。この事故は、そうした中で起きたのではないかと、私は予想している。
 小さい子どもから大人までいる街の柔道上であれば、その子、その子の段階に応じて指導するだろう。年齢の枠ではなく、レベルで練習をそろえることができるのだから。ところが、部活はそれがとても難しいのだ。野球やサッカーであれば、レギュラーと補欠というようなわかれることがあるだろうが、柔道のような競技だと、受け身練習はおそらく一斉にやるのではないだろうか。そのとき、指導者はどうしても、経験者のレベルで設定してしまうし、まったくの初心者中心、あるいは、初心者に注意を集中することは滅多にないと思うのである。実際に、事故が起きたときに、指導者はその生徒のことをみていなかったという。須賀川一中での事故も、やはり、被害者は中一女子で初心者だった。
 だから、指導者に責任を負わせるべきだとは、私は思わない。これはシステム上の問題なのだと思うからである。先程の柔道による死者は、おそらく、ほとんどが部活での事故のはずである。現在の学校の部活では、危険なスポーツで、経験者と初心者がまじっているときには、安全な指導は極めて難しいと考えるべきなのだ。そういうスポーツは、部活ではなく、地域の専門指導員のいるクラブにまかせるべきなのだ。

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