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zoom RSS 「支援学級生残して下山」の記事に思う

<<   作成日時 : 2015/05/29 21:21   >>

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 読売新聞のスクープのようだが、「支援学級生残して下山…茨城の中学、気づかず」という記事がインターネットで配信された。この原稿を書き始めた段階で3時間前という表示になっているが、既にインターネット上ではブログでの紹介記事や2チャンネルの議論が多数始まっている。いかにも、学校の怠慢によるおそまつな事件(大事には至らなかったが)という感じであるが、ただそれだけで済む問題かという疑問があるので、書いてみる。
 とりあえず記事は以下のようなものだ。
−−−
福島県西郷村の赤面(あかづら)山(1701メートル)で28日、生徒を連れて登山していた茨城県結城市立中学校の教諭らが、特別支援学級2年の女子生徒(13)の行方が分からなくなったのに、4時間近く捜していなかったことがわかった。
女子生徒は山中で足首を捻挫し、動けなくなっていた。
福島県警白河署や同校によると、教諭や生徒ら約200人は宿泊学習で同村を訪れ、28日朝、宿泊施設から出発。
山頂で昼食を取り、下山途中の午後3時45分頃、女子生徒がはぐれたという。
宿泊先に戻った後、引率した教諭は別の生徒から女子生徒が戻っていないと報告を受けたが、所在を確認しなかったという。夕食後、生徒の一人から再度申し出があり、午後7時45分頃に110番した。女子生徒は午後9時頃に発見された。
学校のホームページでは一時、夕食の写真とともに「全員無事下山」と伝えていた。校長は「心配をかけて申し訳ない。引率態勢を見直す」と話している。
−−−読売 2015.5.29
 この記事が事実であると仮定して、学校としていいわけできない点は2つあると思われる。
 第一に、特別支援学級の生徒がいなくなったことを、別の生徒から教師に報告があったのに、直ぐに対応していないこと。再度の申し出で初めて110番したとされる。宿泊先に戻った時間が書かれていないので、わからないが、5時ごろだったとして、最初の報告から2時間半以上たっている。普通であれば、直ぐに探そうとするだろう。
 第二に、まだ戻らない生徒がいるにもかかわらず、学校のホームページで「全員無事下山」という報告をした点である。2チャンネルにはそのとき掲載された写真がでているが、引率の教師は、正確ではないが、5、6名はいるようだ。あとで、「全員無事下山」というのは削除されたそうだが、そもそもどこでそうした報告のアップ作業がなされたのだろうか。
 とにかく、現地の教師たちの間では、「全員下山」という確認が、まだ全員ではない時点でなされたということだろう。

 では、どのような疑問が残るかという点だ。
 多くの人は、なんと酷い教師たちだという感想で終わりかも知れないが、私には、そうは思えない。200人の中学生の宿泊行事で、しかも別の県にいっての登山というのは、相当な負担を引率教員たちに強いるものである。近年、とにかく宿泊行事がさかんに行われ、承知のように、教師には、超過勤務手当ては払われないから、事実上24時間勤務体制になっていても、そのように時間計算されていない。もちろん、県にもよるのだろうし、多様だとは思うが、さすがに1日8時間の計算ではないにしても、計算上の勤務と実働勤務とには相当のずれがある。そして、200人の生徒が一斉に就寝しているのだから、何があるかわからないので、緊張はとけない。このような行事が行われている期間、ずっと教師たちの緊張が続くとは思えないのである。登山であれば、教師たちにとってかなりの体力的負担でもある上に、生徒たちに気を配る必要がある。教師だから当然だろうという意見は、自分がやってみても、そういえるか、と返す以外にはないかも知れない。
 そもそも、こんな宿泊行事をたくさんやる国は、ほとんど知らない。親たちの希望が多いようだが、そういう親はかなり気楽なものだ。十分な予算措置をせずに、教師たちの犠牲的労働によって成立するような宿泊行事は見直すべきだと、私は常々思っている。
 第二の疑問は、はぐれたのが特別支援学級の生徒だということだ。
 特別支援学級の担任教師は、引率のなかに入っていたのだろうか。特別支援学級は、通常複数学年の生徒が一緒にいるので、おそらくいなかったのではないかと思われる。いたら、ずっとこの生徒についていたはずだし、いなくなれば直ぐに気づくはずであり、このような状況にはならなかっただろう。
 いなかったとすると、教師たちは、普段その生徒にかかわっていないわけで、生徒たちのグループ行動としても、グループに入っていなかった可能性がある。このような宿泊行事での登山であれば、グループ行動がなされ、人員の確認などは、グループを通して行われるだろう。そして、グループ全員そろった段階で下山が始まるし、下山したときに点呼がなされるから、その時点で報告されるはずである。記事では正確にわからないのだが、そうしたグループによる点呼報告で、いないと報告されたのではないような感じがするのである。正規の点呼の際にいないと報告されても、何もしなかったのだとしたら、弁護の余地はないだろう。(もっとも、この点については、正規の点呼の際でなくても、弁護の余地がないのだが。また、二度にわたって、生徒のほうからいないことが報告されているのだから、生徒たちは意識していたのだといえる。)
 第三の疑問は、特別支援学級の生徒だから、なんらかの障害があるわけで、常識的に考えれば、他の健常の生徒たちと、同じように登山できるとは思えない。特別な配慮がなされなければ、こうした事故が起きる可能性は最初から予想されるはずである。どのような支援体制があったのだろうか。そこがわからない。学校と親との間に、行き違いがあった可能性もある。学校は、特別な支援体制がとれないので、遠慮してほしいと要望したのに、親のほうが強くいかせるように希望したというような。
 その場合、学校がどれだけ合理的配慮のための努力をしたかも問題となるだろう。教員を配置できないとしても、大学で特別支援教育の免許取得のコースにいる学生をボランティアで募集するとか、あるいは、普段ボランティアで日常的に参加している学生に、多少の訓練をほどこして、その生徒を特に面倒みるような形での参加を求めたり、やり方はいろいろある。実際に私の学生で、こうした宿泊行事の引率に参加した学生も何人かいる。
 特別支援の生徒を参加させる以上は、やはり特別な配置を考えるべきであり、ひろく地域に協力を求めることでそれは可能だと思うのである。そうした組織力が、学校の特に管理職には求められるはずである。

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