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zoom RSS 「学び舎」の歴史教科書を難関私立・国立中学が採用しているという産経新聞の記事

<<   作成日時 : 2016/04/01 22:44   >>

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 産経新聞に興味深い記事が載っていた。「灘、筑駒、麻布など有名校がなぜ? 唯一慰安婦記述の中学歴史教科書「学び舎」、30校超で採択」と題する記事で、要するに、慰安婦記述のある唯一の教科書を、国立や私立の有名校が採用しているのはけしからんといいたげな記事である。しかし、普段の産経新聞の記事に比べるといかにもおとなしいというか、気勢があがらないのである。「けしからん」というような明確にネガティブな文章もないのである。もし、これがどこかの市の教科書として採択されたというのならば、いかにも居丈高に非難し、撤回圧力をかけるような記事になったところだろう。しかし、灘、筑駒、麻布という最難関校が採択しているから、どうも非難しにくいようである。「関係法令に基づき採択理由を公表する努力義務もあるが、取材した学校の大半が採択理由を非公表とした。」と、採択理由を公表しないことを批判したいらしい。しかし、記事をよく読むと、「奈良教育大付属中の担当者は、『物語風に書かれ、内容も詳しい。慰安婦の記述などで話題になったが、検定を通っており、許容される内容だと考える』としている。」と、公表している学校もあるのである。私立の学校が、教科書の採択理由を公表するなどというのは、逆におかしな気がする。公立の中学では、市全体でひとつの教科書を使うのであるから、市民に対して採択理由を公表するのは、公共的観点から必要であろうが、私立の学校では単独の採択だから、学校内で説明すれば済む話である。
 そして、どうやら産経は、要するに教科書の内容についてケチをつけたいようなのだ。「南京事件では中国人の証言を採用するなど手厚く記述する一方、北朝鮮による日本人拉致事件では各社が特集などで記述を盛り込む中、年表で『北朝鮮から拉致事件被害者の一部が帰国する』とだけ記述している。」というような記述に、そうした感情が滲み出ている。
 産経新聞は、けなしたい気分なのだろうが、逆にこの記事は、極めてレベルの高い中学で採用されており、しかも、「続きを読みたくなる教科書」をめざしたという「学び舎」の存在をアピールすることになっている。中学の歴史教科書をみれば、おそらくすべての人が感じるだろうが、「続きを読みたくなる」などということがないどころか、そもそも「読みなくなる」ことがまず起きない本である。私は、中学の教育実習にいく学生たちを毎年、模擬授業などを指導しているので、いろいろな歴史の教科書を参照するが、今の中学歴史教科書は、「要点整理参考書」のようなもので、およそ「読むもの」ではない。文部科学省や産経新聞の様な立場の人々は、歴史で日本の伝統を理解させ、伝統を愛する感情を育てようとしているのだが、教科書をみれば、まったく逆効果にしかならないと断言できる。教科書中心の授業をしていれば、生徒はほぼ確実に歴史嫌いになるだろう。歴史が好きだという学生は、たいてい、先生が、教科書から離れた教材で授業をしてくれたといっている。灘、筑駒、麻布などの有名校が、「学び舎」の教科書を採用しているのは、実に示唆的である。産経新聞の記者も、実は心の底では、わかっているのではないだろうか。

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