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zoom RSS イギリスのEU離脱に思う

<<   作成日時 : 2016/06/24 14:55   >>

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 イギリスのEUからの離脱が、国民投票によって確定した。今後の交渉での紆余曲折はあるだろうが、国民の意思である以上、その方向で進むのだろう。BBCの報道によると、多くの国でポンドが記録的な下落をしているという。国際的には、残留してほしかったという意思の現れなのだろうか。
 EUの今後は、もちろん誰にもわからないだろうが、必ずしも、これが決定的に打撃になるかどうかも未知数だと思われる。
 EUとは、基本的に、アメリカに対抗するドイツ・フランスの連合であり、それ故、イギリスは、必ずしもEUの方向性に全面的な賛成してきたわけではないし、また、ドイツやフランスの下風にたつことを潔しとしなかったのだろう。そして、EU自身が、出発当初からかなり変わってきた側面も見逃すことはできない。決して、EUは順調に運営されているわけではなかった。
 EUが大きく変化した最初は、旧東欧諸国を加盟国に次々と認めてきたことである。EUは、出発点では明らかに「西欧」の共同体であったが、旧ソ連体制下にあった東欧を、ソ連解体を受けて、加盟を認めてきた。これがドイツやフランス指導部の強い意思であったかは、専門家でない私にはわからないが、おそらく、ロシアへの対抗策として、アメリカやイギリスが後押ししてきたことは間違いないだろう。比較的豊かな経済先進国に、豊かとはいかない東欧諸国が加盟してくれば、様々なきしみが出てくることは避けられない。ウクライナ問題は、こうした動きの延長で起きたより大きな矛盾だったわけである。
 EUの経済力を削ぐための戦略も思い出される。スペインの経済危機やギリシャ危機などは、自然に起きた危機とはいえないだろう。そして、昨年のリビア、シリアやアフガニスタンからの大量難民騒動である。トルコからのEU批判の策動であるといわれているが、トルコからの加盟申請に否定的な対応をとり続けたEUへの報復とも捉えられる事態であった。
 また、難民騒動のなかで、EUの極めて重要な政策であったシェンゲン協定は、事実上停止しており、EUは部分的には既に後退状況にあったわけである。そうした状況をみての国民投票の結果であると考えるのが自然だろう。機をみるに敏なイギリス国民が、EUから逃げ出したということだろうか。
 では、ドイツやフランスという中核的な国家、あるいは、オランダ、ベルギーなどのEUを強く支えてきた国家の指導者たちは、どのように対応するのだろうか。もちろん、それはわからないが、ある意味、EUの統合に対して消極的であったイギリスが離脱するので、統合を促進するか、統合のテンポが速すぎたことを反省して、緩めるのか、どちらかの方向を選択することは必要となるだろう。
 無為のまま過ぎれば、EUそのものが事実上瓦解していく可能性が高いだろう。大きくなりすぎた帝国は、やがた瓦解するのが避けがたいからである。スカンジナビア三国のような、小さな国家協調のグループに分かれていく可能性もある。ベネルクスグループ、バルト三国グループ、オーストリア・チェコ・スロバキア・ハンガリーの旧オーストリア帝国グループ、イタリア・スペインのラテングループ等々。完全に分かれてしまうのか、あるいは、分かれた上で緩い統合が維持されるのか。
 ヨーロッパ諸国は、普通考えられている以上に、安定した国家の継続期間は短いのである。EUの中核であるドイツは、20世紀初頭は、ドイツ帝国であり、植民地を失った国としてワイマール共和国になり、そして、ヒトラーの第三帝国、敗戦で東西分裂国家、そして統合されたドイツ連邦共和国となり、更にEUの中核的国家となっている。わずか一世紀の間に、これだけ変遷しているのである。東欧諸国の変遷はもっと大きなものがある。そう考えると、イギリスのEU離脱がきっかけに、再編が起きたとしても、それは、いかにもヨーロッパ的な動向のいつものパターンのようにも思われるし、それほど突拍子もない事態ではないとも考えられる。
 EU自身が決めることであるが、EUという試みは、やはり、平和的な国家統合として、多いに期待されるものだし、瓦解してしまうのは、残念な気がする。EU統合の速度を多少緩め、ここ数年間に起きた歪みを微調整しつつ、より安定したEUをめざす姿勢を明確にすることが、更なる離脱国家をうまないために必要ではないかと思われる。

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