京都工芸繊維大学教授諭旨解雇 多少疑問だが

 毎日新聞2019.6.27によると、京都工芸繊維大学の教授が、学内で無断の営利行為をしたということで、解雇されたという。
 自分の専門にかかわる企業3社に学内の機器を使わせるなどして、設備使用料や技術指導料など、合計170万を受け取り、更に09-16年に学長の許可なく5社で兼業したという。ただし、受け取った金は研究費などにあて、私的流用はなかった。教授は事実を認め、「手続きや規則を認識していなかった」などと弁明したが、学長は「極めて遺憾。学生や社会に深くおわびします」とのコメントをだしたとされる。同趣旨の記事は多数あったが、どれもほぼ同じである。

 あまりに簡単な記事なので詳細がわからず、材料不足でもあるが、可能性をいくつかあげつつ考えてみたい。
 最初の疑問は、この大学では規則を周知させていなかったのだろうかという疑問だ。5社で兼業というのだから、おそらく、ずっとアカデミックな領域で活動してきたのではなく、企業に長くいた人なのかも知れない。企業の定年を考えて、50代くらいで大学の教授になったという経歴を思わせる。しかし、逆のことも考えられる。企業は兼業については、規則として明確にしているのではないだろうか。通常は兼業は許可しないだろうから、許可する場合には、許可条件などを明確にしているのではないかと想像するが、私は企業勤務経験がないので、正確にはわからない。
 大学人は兼業は珍しくないので、通常は届出になっていると思う。もちろん、形式的には「許可」が必要なのだが、授業に支障がないかぎりは、「形式的な許可」になっている。私の大学でも、兼業願いという書類を、年度始めにだすくらいである。この教授が兼業をしたといっても、おそらく、企業の社員と同じようなことをやっていたわけではなく、技術指導とか相談、あるいは限られた領域での仕事をしていただけだろう。
 要するに、許可なく行ったことが問題であるというようだから、解雇ほどの重い問題なのだろうかというのが、感想だ。
 次に、設備を使わせたり、技術指導をしたりというのは、大学では普通に行われているのではないだろうか。むしろその程度のことができない大学であれば、社会的には評価が低いはずである。いろいろな形で収入増が必要で、大学はお金のかかる事業だから、こうしたことは大学当局が率先して行っていることが多いと思われる。しかも、得た収入は研究費に使っているというのだから、私的な不正をしているわけではない。大学にとっては利益になると思うのだが。
 「学生や社会にお詫びする」といっても、何をお詫びするのか、よくわからない。
 もちろん、きちんと事前に届けて、必要な許可をえて行うべきで、しかも、得た利益に関しては、しかるべき部局に届けて、明瞭にしておく必要はある。その点での瑕疵はあると思う。しかし、それは大学のガバナンスの問題でもあるのではないだろうか。大学の管理部門が、しっかりと規則の徹底と、設備等の管理をしていなかったということでもあるような気がする。

 他方、解雇するからには、もっと公表されなかった事実があるのかも知れないとも想像される。企業の兼業がかなり深かったとか、あるいは、そこでの情報遺漏があったとか、企業の人が研究室の設備を使うのが頻繁で、学生たちの教育に支障が出ていたとか。そういう事情があるならば、解雇も仕方ないと思う。

 京都工芸繊維大学の懲戒規定は公開されているので、ざっと読んでみたが、明確に該当するのは、以下の文章だ。
(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠
 国立大学法人京都工芸繊維大学職員兼業規則(平成16年4月1日制定)に定める兼業の申請又は届出の手続きを繰り返し怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

 他にもたくさんの懲戒事由が書かれているが、記事と相応する内容は見当たらない。器具を使わせるとか、教えて謝礼をもらうとか、そういうこともおそらく届出の問題だろうと思うので、それならば、減給乃至戒告に留まる。にもかかわらず、諭旨懲戒解雇というのは、おそらく公表されない何かがあるのだろう。しかし、こうして記事にするべく公表するならば、今後の大学運営や教授のモラルの確立改善を図る意味で、正確な情報を提供すべきではなかろうか。

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