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zoom RSS オランダの社会と文化 −日本と比較しながら (1)

<<   作成日時 : 2006/05/27 16:34   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 180 / トラックバック 0 / コメント 1

 これまでいろいろな機会にオランダのことを書いたが、少し整理してみたいと思ったので、これから少し集中して、オランダと日本の社会や文化のことを書いてみることにした。何か興味をもてる点があったらコメントをお願いします。

一九九七年の年の夏、私は妻とロンドンのヒースロー空港で飛行機を待っていた。5メートルくらい離れたところにイギリス人らしい男の子が母親とジュースを飲んでいた。そのとき、私はちょっとした実験をしてみたくなった。私はお腹がすいていたので、パンとコーヒーの簡単な食事をしていたのだが、パンをナイフとフォークで食べてみたのだ。案の定、その男の子はこちらをじろじろと見ながら、母親の手を引っ張って話しかけている。

  ねえ、あのおじさん、ナイフとフォークでパンを食べているよ!

 実験の成功?に思わずほくそ笑んでしまった。ヨーロッパでパンをナイフトフォークで食べていたらそれはオランダ人だと、何かの本に書いてあったのを思い出し、この風習がイギリスでは奇妙にうつるのか試してみたくなったのである。
 オランダは実に不思議な、変わった国だと思う。ヨーロッパの中でも異色の存在であることはこの風習でもわかる。一般には安楽死や麻薬、売春の合法化が、他国にはない制度として知られているが、実はまだまだ、オランダ独特の風習や考え、システムがある。義務教育段階からの完全な学校選択制度、視聴者を反映した番組づくりを保証する独特な放送システム、人工的に作られた国土、熱心な環境問題への取り組みなどなど。
 夏のバカンスの時期に、ヨーロッパの高速道路を走っていて、キャンピングカーがいたら、その半分はオランダ車と考えてよい。EU加盟国の車は国別の色や印をもったナンバープレートをつけているのですぐにわかる。旅行が好きなオランダ人だが、費用を安くあげるために遠くまでも車で行き、家族でキャンプをする。オランダ人はけちだ、というのが通り相場だが、世界で災害が起こったときに、もっともたくさんの寄付を迅速に届けるのもオランダ人だ。「愛は地球を救う 24時間テレビ」のような寄付を集めるテレビ番組を、最初に始めたのがオランダ人であることを御存知だろうか。
 オランダのこうした変わった性質は、決して「奇妙」なのではない。よくよく考えてみると、実に合理的なのである。初めは、奇妙に見えるさまざまなオランダの個性的な社会システムは、合理なだけではなく、オランダ人の重視する「寛容の精神」とあいまって今の国際社会にとって、とても大切なもの、あるいは環境問題や民族紛争で危機に瀕している地球を救う、重要な考え方を提起しているとも考えられるのである。
 日本は江戸時代の二五0年間、欧米の国では唯一オランダとだけ交流し、オランダを通して西洋の科学文化を学んだ。日本語に残るいくつかのオランダ語や、江戸湾や九州の干拓としてその足跡が残っている。しかし、明治になって、日本は主に交わる国をオランダから英米、独仏に乗り換え、ひたすら西洋列強に追いつくべく邁進した。帝国としては弱体化したオランダなど学ぶものはないとでもいうように。そうした中で、再びオランダと遭遇したのは、インドネシアの占領に関わるオランダとの戦争であった。「ABCD包囲陣」のDはもちろんオランダ(Dutch)である。日本人はほとんど意識しないが、今でも、当時のインドネシアでのオランダ人虐待に対する反日感情をもっているオランダ人たちが存在している。戦後再び日本とオランダは再び疎遠な関係になってしまった。
 高度経済成長や石油ショック後の経済的躍進の後、日本の電気製品や車がヨーロッパに広まるに従って、工業製品を通じてオランダの日本認識が少しずつ形成されたが、日本側のオランダ認識は低いままだった。おそらく日本人のオランダ理解は、「風車・運河・チューリップ」ったろう。
一九九四年にベアトリクス女王が来日して、日本とオランダの交流を活発にすることを約束したあと、様々な交流がなされるに及んで、日本人のオランダ認識も段々高まってきたし、また、安楽死や麻薬のことも知られるようになってきたが、大きな転機となったのかおそらく小野伸二がオランダのサッカーチームに参加したことだった。これが日本人側のオランダへの意識を高める大きなきっかけとなった。オランダ側でも同じで、私が二00二年にオランダに行ったとき、日本人である私への問いは決まって「オノを知っているか?」だった。これもまた文化交流の形態だろう。しかし、まだまだ、安楽死や麻薬を認める「ヘンナ国」という意識が強いのではなかろうか。
 私自身、オランダはヘンナ国だと思っているが、そのヘンなことの背景には極めて合理的な理由があるとも思っている。この文章は、長い交流のある日本とオランダの文化や社会を比較的に検討しながら、オランダ社会に見られる、他とは違う面を、単に面白い奇妙なものと受け取るのではなく、何故、オランダ人はそんなことを選択したのか、その原因を探りながら、オランダの特性が意味するものを明らかにすることを意図している。底に流れる「合理主義」が地球規模で起こっている困難を解決する考え方を提起していると思うからだ。

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