教育と社会を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 遅刻で100円罰金?

<<   作成日時 : 2006/11/07 07:45   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 10月27日の沖縄タイムスに興味深い記事が掲載されている。全国紙にはなかったと思うので、これまで気がつかなかった。
 琉球大学工学部の教授が遅刻が多いので、遅刻学生から「罰金」100円を徴収していたことについて、大学側は「再発防止の確約が得られなかった」として、当該教授を講義担当から外し、学科長を含む3人の分担授業に切り換えたところ、それを不服とする当該教授が後期授業に乗り込み、学生の前で口論となったために、講義は中止になっているというもの。教授は強制的に講義を取り上げるのは教育権の侵害だとしているようだ。そして、学生の話として紹介されているのは、「教授の講義は面白い。理論をしっかり教えてくれて分かりやすい」という評価もあり、遅刻者が多いことに対する反省も聞かれる、と結んでいる。
 詳しいことは分からないが、実に多くの論点が含まれている。
 工学部のような所での授業においては、遅刻が非常に迷惑であることはうなづける。授業を行う側としては、何らかの措置をとることは許容されるような気がするが、どういうことは許され、許されないことは何なのか。
 教授の教育権というのは、「教授の自由」は大学において認められているというのが、憲法解釈の定説だが、具体的にはどうなのか。私が所属する学部では、専任の教授が受け持っている必修科目の担当者が変わる場合に、本人の同意なしで決まることは考えられないが、この場合、本人も参加している会議での検討なしに決まったのだろうか。本人が参加する会議で決まったならこうした混乱が起きることは考えられないし、また、本人の参加なしに決められるということであれば、この大学での意思決定に問題はないのだろうかという気もする。

 遅刻学生から100円徴収するということを、どうやって決めたのだろうか。
 通常遅刻に対して厳しく対処しようと思ったら、遅刻*回で欠席と見なし、欠席*回以上は単位を認めないというやり方をとるのが普通ではないだろうか。62歳の教授らしいので、いろいろなことは試したのだろうと推測される。そしてこのようなやり方では効果がなかったのだろうか。
 あるいは、必修科目なので、単位を認めないやり方は過酷だと判断して、100円罰金を払えば単位認定の道は閉ざさないということで、温情措置だったのだろうか。少なくとも必修科目の単位を認められないよりは、100円の方がはるかに学生にとっては軽い措置だから、よく説明しておけば、問題にならなかったのではないかとも考えられる。
 すると、学生との合意形成はどうなっていたのか。
 こういうことに学生との合意形成などいらないという考えもあるかも知れない。しかし、最初の授業で明確に理由とともに措置を説明し、学生の納得を得ていれば、問題にはならなかったに違いない。問題になったということは不満な学生が大学当局に訴えたと考えられるから、学生側に不満があったのだろう。このように問題化して、授業担当を外されたり、処分の可能性もあるのだから、学生との合意はやはりあったほうがよい。
 また徴収していた100円はどのように使っていたのだろうか。
 私的に使っていたなら問題だろう。
 学科費用に繰り入れ、教育費として使用していたのだろうか。あるいは、別のことが想定されていたのか。
 もしかしたら、罰金の使い道に学生が批判意識をもって訴えたのかも知れない。

 確かに大学というところは、おそらくどこでもそうだろうと思うが、遅刻やさぼりの欠席を問題である。私自身はさぼりの欠席はそれほど問題としていないが、遅刻の方が迷惑である。この教授は遅刻をなんとかしようという意思をもって、行動に出たこと自体は、やる気のある教授だったのではないかと思う。やる気があるからこそ、外されたことに抗議をして教室まで乗り込んだのだろう。この教授の授業については学生の評価は高いことからも教授のやる気は伝わってくる。

 ならば、100円徴収もその意図を十分組む形で話し合えばこのような混乱はなかったに違いないとも思う。

 ここ2、3年、私はあるひとつの科目でだけ、遅刻を認めないという方式をとっている。その教室は内から鍵がかかるので、主に学生が入ってくるドアの鍵を閉めさせるという方法をとっている。もっとも、交通機関等の問題で仕方なく遅れることもあるから、いくつかのドアは開けておくし、遅刻した学生に理由を聞いたりはしない。こうしたやり方をとることについては、もちろん、それは最初の授業で説明し、異論があれば出すように言う。 教師に対する迎合的なものもあるだろうが、この措置については積極的に支持する意見が出される。

 大学の新入生はまだ高校生の習慣が残っているのだが、急速に大学の習慣を学んでいく。そのひとつが、授業は通常10分程度遅れて始まるから遅刻は問題ないとか、さぼってもいいとかいう習慣である。最初は教師が遅刻するのは問題だという意見がけっこう出るのだが、2年生くらいになるとそんな意見は出なくなる。すっかり悪弊に染まってしまうわけだ。そういうわけで、大学の教師達の責任はけっこう重いし、しっかりと学生を教育し力をつけさせるという点で問題をもっている。

 そういうことを考えると、100円徴収に細かい点での問題はあるかも知れないが、遅刻をなんとかしようという点では評価されるし、大学側の対応にもことなかれ主義的な問題もあるように思う。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
遅刻で100円罰金? 教育と社会を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる