教育と社会を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 公立高校が推薦入試を廃止する方向とか

<<   作成日時 : 2008/04/13 22:07   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 今日(4月13日)の朝日新聞に、公立高校が推薦入試を廃止する動きになっていることを報じている。高校側の生徒を確保したいという要望と、早く進学先を決めたいという生徒の要望とから、推薦入試は高校に限らず大学でも広まってきたが、しかし、一方、学力テストを受けないために、学力が低いのではないかという懸念もまた、つきまとっていた。特に、最近ではPISAの結果から、学力低下に対する社会的不安が広まって、こうした動きになってきたのだろう。
 そもそも、中学から高校に進学するというときに、何が求められるのだろうか。中学で学ぶことを理解した、基準を超えているということなのか、あるいは高校で学ぶための基礎学力があるということなのか。少なくとも論理的にはこのふたつのどちらかでなければならない。ところが、日本の入試制度というのは、この基本原則を極めて曖昧にしているのが特徴だ。 中学での学力、あるいは高校での学力ということに対する社会の基本合意が存在していないだけではなく、そうした学力の認定の試験そのものが存在しない。
 だから、前者の認定をもとに高校進学、あるいは大学進学を認めるということは不可能である。
 従って、高校が、あるいは大学が「入学試験」をすることになるのだが、この入学試験というのは、よくよく考えると実に不可思議なものなのだ。大学人として、大学入試の問題作成に関わるとそれがよくわかる。私もずっと以前は、義務として入試問題の作成に関わっていた。今は専門外の者は関わらないので、まったく関係ないから、気軽に言えるのであるが、大学入試の問題は、大学で要求される学力を試すものではない。そういう問題を作成したら、おそらく世間というか、メディアが非難するだろう。では、何を問題としているかといえば、高校で習うことを理解しているかどうかを試す問題を作っている。だから、入試問題を作成しているときは、高校の教科書と首っ引きである。大学の教師が大学の入試問題を作成するときに、高校の教科書を参考にするというのは、妙な話だ。もっとも、大学の教師も大学生が高校でどんな勉強をしてきたかを知る意味で、そういうことも意味があるという考えもあるが、それならそれで別の機会を設定した方が合理的だろう。 これらのことでわかることは、日本の入試制度では、中学や高校での満たすべき基準を満たしたかどうかも、また、高校や大学で必要な基礎能力とは何かということ、そしてその試験も、まったくといっていいほど実施されていないということである。だから、極端に言えば、試験が何でもありの世界になる。何でもありの中で、選択されることになる。少子化の中で、選択されるということによって、何でもありのいい加減さが、抑制されることはあっても、とにかくは受験生確保のために、許されることなら何でもやる、ということになりがちなわけだ。
 そういう中で、双方にとって安易な推薦入試が拡大し、その結果として、学力低下という事実を避けることができなくなったわけであろう。ただ、誤解のないように書いておくが、推薦入試で入った学生が、大学において悪い成績をとっているというわけではない。推薦で入った学生はまじめな性格であることが多いから、よく勉強するし、そういう意味で、問題となっているわけではない。ただ、さすがに、必修の英語などで苦労する例が多いのは事実だ。
 さて、以上のことから、現在の入試制度を前提にして、制度をいじっても、学力問題が解決することは、あまりないように思われるのである。公立高校の場合には、その県が公立高校の定員がほとんどで、私立高校がほとんどない県ならいざ知らず、東京のように私立高校がむしろ多いところでは、公立高校が入試で推薦をやめても、私立高校がやるだろうから、効果は限定的にならざるをえないだろう。それに、そもそも、競争がなくなっていることが、学習意欲の低下につながっているのだから、いくら学力テストをやっても、低い点数でも入れるとなると、これも事態はあまり変わらないと考えられる。
(つづく)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
公立高校が推薦入試を廃止する方向とか 教育と社会を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる