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zoom RSS ワークシェアリングの条件

<<   作成日時 : 2009/01/23 15:50   >>

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 経団連や連合がワークシェアリングを前向きに考えているということが、この間話題になっている。しかし、オランダやドイツで行われたことが、日本で実現できるかというと、そんなに単純ではない。特に、かなり大規模にワークシェアリングが行われ、経済の回復に実効性があったとされるオランダの就業形態や社会保険のあり方が異なるので、結局のところ、労働者の不利な状況が繰り返される危惧が強いと考えられる。また、メディアの報道をみても、あまり切り込んでいないように思われる。
 
 まず単純に考えても、欧米はある職務をすることで契約し、職務給として賃金が支払われるのが一般的である。ところが、日本では、企業に雇用されて、年齢給となっている例がまだまだ多いだろう。職務給である場合には、Aさんの仕事をBさんに3分の1分けたとしたら、賃金を3分の1分ければよい。(この場合単純化しているので、現実にはそのようにいかない場合もあるだろうが。)
 しかし、日本のような形態の場合、40歳で勤続20年のAさんの仕事を、30歳で勤続10年のBさんに分ける、あるいは、25歳の新人に分けるというような場合には、賃金をどのように分割すればいいのか。また、日本の場合には、ボーナスや有給、各種手当等々が、企業によって異なる。こうした要素を考えれば更に仕事の分割と賃金の分割は一義的に決まらないことになる。そして、正規雇用と非正規雇用では、様々な違いがある。
 オランダでうまくいったのは、こうした複雑な状況が日本よりずっと少なかったからであると考えられる。社会保険は基本的に公的保険であるし、ボーナスなどは日本のようにないし、また、もともと正規雇用と非正規雇用を厳格に分けるというシステムではなかった。パートとフルの違いもそれほど重視されず、週何日働くという形で雇用されているから、ワークシェエリングをする場合に、分割しやすい状況だったといえる。
 
 また、まったく逆の側面から考えると、日本は本来かなりのワークシェアリング社会であったのが、その形態を壊してきたのが近年の傾向であるという点である。
 特に日本の流通は、生産者と消費者の間にいくつかの業者が介在し、その過程でかなりの流通費が発生していた。だから、生産者の取り分が低い割に、消費者の払う代金は高めであったわけだ。つまり、消費者や生産者が流通業者に対して、ワークシェアリング効果を与えており、それで生活していた人たちが多数存在したことを意味する。
 しかし、流通革命で、こうした中間業者が減らされ、消費者物価は安くなったわけだが、そこで仕事を失った人たちも大量に発生した。
 正規雇用を少なくし(大量のリストラ)、非正規雇用を増加させたのも、ワークシェアリングの逆の流れであったといえる。
 
 次にオランダの政策決定プロセスと日本の大きな違いを考慮しなければならない。日本ではよく「政・官・使」というが、オランダでは、「官」ではなく「労」になっている。しかも、「労」は市民団体も含んでいる。実際に、政治家代表と経営者代表と労働者・市民代表が、平等な立場で話し合い、試行錯誤しながら政策を決めていくことが、通常行われている。
 しかし、日本では労働組合は比較にならないくらい、圧迫され弱体化しているし、政策決定プロセスに市民団体(NGO/NPO)が恒常的に参加するということは、極めて少ない。だから、出てくる政策が誰の利益を代表しているかが、同じ「題目」であっても、ずいぶんと違うのだ。今回のワークシェアリングでは、連合も賛成しているので、メディアは「政・労・使」などといっているが、労の意味が異なるし、また実態も違う。
 
 現在のように、非正規雇用が劣悪な労働条件におかれ、また、簡単に解雇されるような状況は無くさねばならないから、ワークシェアリングがある面で必要であることは確かだろう。しかし、それを可能にする条件を正確に認識しないと、結局逆効果(経営の本当の目的なのかも知れないが)になる危険性がある。十分注意すべきだろう。

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