教育と社会を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 公立学校運営を民間委託という「案」について

<<   作成日時 : 2013/07/02 20:28   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 0

 日本教育新聞6月24日号に、「公立校運営を民間開放 新しい特区制度活用 安部内閣が検討」という記事か出ている。安部内閣は、教育に関する提言をどんどんまとめているが、かなり慎重に考えるべき内容が多い。今回の公立校運営を民間に開放というのも、そうだろう。大阪府と大阪市が強力に求めているということだが、過去小泉内閣のときにも議論があったのだという。授業や部活の委託が焦点であるように、日本教育新聞は書いているが、本当のところは、もう少し違うところにあるかも知れない。ちなみに、大阪市では、民間校長を大々的に募集したが、民間では優秀であったはずの新人校長が既に辞任する人が現れたことは、銘記されてよい。
 記事によれば、小学校英語の拡大を考える際、教師の負担などを考慮すると、英語の授業そのものを民間に委託することで解消できるというが、そのまま受け取るには、随分と疑問が多い。英語を専科として、英語専門の教師を雇う、あるいはそういう教師を非常勤講師として雇うということは十分に可能であり、教科化された英語だけ、民間に委託するというのは、全体の教育計画との関連をどうするのかという問題が生じるだろう。そうした民間委託は教育委員会が決めるのだろうが、現場での教育課程についての権限は校長にあり、英語に関して、民間業者が委託されるということは、校長の教育課程編成権限を移譲することにするのだろうか。それとも民間委託されてきた講師たちも、校長の教育課程権限のなかで行なうというのだろうか。それなら、非常勤講師の採用となんら変わらないし、あえて民間委託という意味がない。
 現行法制内でも、教科化された英語教育の、担任への負担を回避しつつ充実させる方法はいくらでもあると思うが、この記事を読んで、私が考えたのは、これはTPPに絡んでいるのではないかということである。もちろん、それは全くの想像であり、記事にはそういう指摘はない。
 アメリカには、エジソンスクールという教育全般を請け負うような企業がある。教材作成はもちろん、教師の派遣、更には学校運営全体を請け負うこともある。随分前のことだが、フィラデルフィア市で、公立学校の運営をすべてエジソンスクールに任せるという案がだされ、大きな議論になったことがある。また、エジソンスクールは、チャータースクールも運営している。チャータースクールは、公費で運営される公立学校だが、契約によって民間(個人やグループの場合もある。)が運営する。エジソンスクールとしては、実にいい商売だろう。
 TPPによって、労働市場や経営市場が開放されたときに、エジソンスクールのような教育運営会社が、日本でも公立学校の運営を自分たちに開放せよという要求がでる可能性は十分にある。
 このようなあり方を念頭に置いたものであるならば、本当にしなければならない議論はもっと別のことだろう。
 それとは別に、しなければならない議論を提示しておきたい。
 公立学校に民間の運営を取り入れるということ以前にすべきことがある。
 私は先日都内のある教育困難校とされる高校を訪問してきた。確かに生徒たちの状況は教育するのに大変であるが、教師たちは非常に努力して、その中で生徒たちの主体性を尊重し、その歩みは遅々たるものであったとしても、確実に効果があがっているように感じた。特に、その学校の方針をもっともよく体現していると思われる生徒会の役員たちの懇談では、彼らのしっかりした姿勢には、本当に感動させられた。
 現在ほとんどの都道府県では、公立学校が全体の生徒を受け入れているわけではなく、程度の差はあれ、公立学校に入ることができなかった学力の低い生徒たちを受け入れている私立学校があるはずである。つまり最も教育困難な生徒たちを引き受けている高校の多くは私立学校であるという点である。現在の学校教育の問題の中で、この領域を無視するならば、極めて偏った議論になってしまう。
 橋下市長は、公務員が解雇されることのない甘えのなかで仕事をしていると、常々批判しており、それが民間委託という発想につながるのだろうが、底辺の私立高校は、まさしくつぶれる危険に常に直面しており、甘えなど許されない状況で困難な仕事をしている。そうした面を無視て、競争を鼓舞して、一部のエリート教育を充実させるというようなやり方ばかり追求するのは、日本全体の質向上にはつながらない。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 7
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
公立学校運営を民間委託という「案」について 教育と社会を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる