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zoom RSS 大阪桐蔭問題について考える

<<   作成日時 : 2015/03/26 10:17   >>

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 大阪桐蔭が会計問題で揺れている。大阪産業大学が設置した第三者委員会の調査報告書を読んでみた。残念ながら、会計処理上の問題は理解できたが、根底にある問題については、ほとんど触れられることがないのが不満である。
 インターネット上では、どの学校にもある問題という意見もあるが、そうではないと考えられる。こうした裏金問題が教育現場で起きた事例としては、かつて「リベート問題」として騒がれた事例があった。教材費などを定価で保護者から徴収し、業者は割引で学校におろす、その差額(リベート)を、学校が様々な用途で使うという問題であった。構造的には、同じであるが、何に使うか、どのような学校が主に使っているかという点で、かなりの変化があると想像できる。
 かなり広範にあったと思われるかつてのリベート問題では、リベートは、おそらく懇親会や旅行の補助的な費用として、あるいは、不足の教具購入などに使われていたと思われる。かつて、行事のあとで、学校内で酒席が設けられることは普通であったし、学校予算ではそろえることができないが必要な教具などは、まだまだたくさんあった。PTAがそうした不足分を補う予算補助組織になっていたのは、当時の常識だった。
 高校は、人口の増減によって、経営が左右される度合いが大きい。大学は、当初進学率は低く、飽和状態になるまでに相当の年月がかかり、少子化との関連で、「冬の時代」「大学全入時代」となったのは、最近のことである。それまでは生き残りをかけた無理な経営をする必要は、あまりなかった。(今後は、今回の大阪桐蔭のような事例が、大学でも出てくるのではないかと予想される。)しかし、高校は、早くから進学率が天井状態になり、ベビーブーム、第二次ベビーブームのときには、高校不足問題が、そして、その後の減少期には経営危機が訪れた。そして、少子化時代が始まると慢性的な危機状態にある高校が徐々に増えてきたわけである。消えていった高校もたくさんあるだろう。公立高校でも合併によって、事実上消滅した高校は少なくない。
 そういう中で、経営を安定させるためには、当然多くの受験生を集める必要があるが、高校が名前をあげ、受験生を多く集めるための方策は、比較的単純である。典型的にいえば、東大合格者をだす、甲子園に出場するという「実績」である。もちろん、他のスポーツでもいいし、吹奏楽でもいいのだが、とにかく、社会的に高い評価を受ける領域での実績をあげることである。そして、実際に、極めて短期間の間に、こうした実績を残したことで、無名校あるいは底辺校か、有名校、上位校にのし上がった高校がいくつかある。大阪桐蔭はその典型的な例であろう。1980年代に創設されたにもかかわらず、現在の高校としての地位は確固たるものがある。
 私立の新設校が最初から上位校になれることは稀で、特別な条件がある場合だけである。(たとえば、有名大学の付属として設置された等)つまり、底辺校から出発せざるをえないのである。しかし、どんなにその学校の教育が優れていても、底辺校から東大合格者を出したり、甲子園に出場したりすることは、ほぼ不可能だろう。では、短期間でそうした実績を出すにはどうしたらいいのだろうか。答は単純で、偏差値の高い生徒を獲得するか、中学生で優秀な野球選手を入学させることである。しかし、偏差値70近い中学生が、底辺校に進学することはまずないし、甲子園にいきたいと思っている野球部の生徒が、まったく実績のない高校に進学したいとは思わないだろう。そこで行われるのが、さまざまな裏工作であり、そこには多くの場合、多額の資金が必要とされる。
 随分前のことになるが、実際に短期的に有名校のひとつとなった元底辺校が、どのようにして優秀な受験生を獲得したかの一端を紹介しよう。
 中学の側でも、進学できそうにない生徒が少なからずおり、彼らをどうやって高校に進学させるか、頭を悩ます。そこに、「どんなに成績の悪い生徒でも、何人でもとってあげます、その代わり、偏差値70前後の生徒を一人でいいのでつけてください」という交換条件を出す。もちろん、そういう生徒には、特待生扱いで授業料免除で、特別進学クラスをつくり、特別授業体制で臨む。中学からそうした生徒を獲得する場合には、塾に対して同じことを行なう。中学からのほうが、実績作りも、生徒獲得も容易だろう。接待は当然だろう。今回の大阪桐蔭の事件でも、中学の側の裏金問題が高校よりは、はるかに広く行われているようだ。
 あわせて、甲子園対策も行なう。甲子園対策では、まずは優秀な実績のある監督を引き抜く。高校野球界には、著名な監督がいて、いろいろな高校を甲子園に出場させたり、あるいは優勝させたりしている実績があるわけだ。だから、そういう人を監督に迎えれば、全国の中学生球児は、それだけで希望がある学校だと評価してくれるから、素質のある球児を集めやすくなる。もちろん、様々な場面で、お金が動くだろう。
 こうして東大合格者をだし、甲子園に出場すれば、一気に名前が売れ、上昇カーブに乗れるというわけである。大学では、もっと多様な分野でそれが行われる可能性があるが、箱根駅伝などは、その代表例だろう。
 では、こうしたやり方は、間違っている、不正なのだろうかということが、最大の問題だろう。大阪桐蔭の生徒や保護者の受け取り方は、まだよくわからないが、インターネット上では、あまり不満が出ていないという。通常よりかなり多めの授業が行われているので、ある程度、他よりは、費用がかかっても仕方ないし、私腹を肥やしているわけではなく、生徒たちのためになることに使っているのだ、と割り切っているかも知れない。特に、現在では、授業料補助の制度によって、かつてよりは負担が減っているから、教材費などで多めにかかっても、負担感は少ないのかも知れない。それに、たとえば、500円の問題集を、600円で買わされるわけではなく、500円払っているだけであり、業者が400円で学校に渡し、学校は、余った費用で塾の人を接待して、優秀な生徒を送り込んでもらい、その結果学校が繁栄すれば特に不満はないという保護者がいても、特に不思議ではない。
 では、問題ないのだろうか。報告書が特に問題にしているのは、私的な流用、つまり、私腹を肥やすことであり、その点での刑事告訴なども提起している。明らかに、私的流用、つまり、個人的な着服は犯罪であり、その事例が報告書に記されているが、厳正な法的措置がくだされるべきであろう。しかし、私的に流用されたものではなく、中学・高校の経営上の改善のために使用されたものであれば、直ちに不正とはいいがたいようにも思われるが、最低限、使い道の詳細が公表されるべきものだろう。学校の会計は、原則公開義務があるはずである。多くの税金が補助金として出されている。どのように使われたのかわからなければ、その是非については、判断しにくい。判断しにくい使われ方なのだから、りっぱでないことは疑いないが。今後メディアや警察の調査で、より詳細がわかってきた段階で、もう一度考えてみたい。
 
 ほとんど関係ないが、この秋に導入されるマイナンバーというのは、法人に対しても付与されるのだろうか。個人のお金の流れだけを監視しても、法人を監視しなければ、不正な流れを捕捉することはできないと思うのだが。

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